無軌道型AGVと人協働ロボットを組み合わせた次世代搬送システム発売:協働ロボット
DMG森精機は、無軌道型AGVと人協働ロボットを組み合わせた、次世代搬送システム「WH-AGV 5」を発売した。高さ35mmのケーブルダクトを乗り越える走破性を備え、±1mm以下の位置決め精度により、ワークダイレクト着脱に対応する。
DMG森精機は2021年10月1日、無軌道型AGV(無人搬送車)と人協働ロボットを組み合わせた、次世代搬送システム「WH-AGV 5」を発売した。自律走行が可能で、加工ワークの搬送や着脱など、工場内の物流搬送を自動化する。2021年に10台、2022年に20台、2025年に100台の販売を予定している。
自社開発の無軌道型AGVは、走行ルート用の磁気テープやマーカーがなくても工場内を自由に走行できる。最大高さ35mmのケーブルダクトなど、段差を乗り越える高い走破性を備える。
レーザースキャナーが人や障害物を検知し、これを回避して走行するため、安全フェンスも不要ない。レーザー測域センサーによるガイドレス走行を可能にしており、レイアウト変更にも柔軟に対応する。AGVコントローラーを使えば、工作機械だけでなく、洗浄装置や計測装置など周辺機器への搬送も一括で制御する。
サイズは700×1030×1750mmで、作業台車と同程度のコンパクトな設計だ。最大搬送質量は200kg、ロボットハンドの最大可搬質量は5kg。非接触給電装置の搭載により、24時間の連続稼働が可能だ。
ロボットアームの先端には、ビジョンセンサーを搭載。6軸補正による±1mm以下の位置決め精度により、工作機械へのワークダイレクト着脱に対応した。工場内全体の生産設備を接続して有効活用できるため、状況に応じた工程変更が柔軟に行える。WH-AGV 5単体でも購入でき、既存機への後付けにも対応する。
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