ミネベアミツミが8本槍戦略の推進に向けM&Aを加速、本多通信やホンダロックなど:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ミネベアミツミは2022年8月5日、オンラインで会見を開き、2022年度(2023年3月期)第1四半期(4〜6月期)の決算と併せて、本多通信工業や住鉱テック、ホンダロックなど直近のM&Aの狙いについて説明した。
ホンダロックの買収で「プラチナチケットが得られた」
ホンダロックの買収によって得られるメリットの1つが、ミネベアミツミのティア1サプライヤー事業としてホンダへの販路を切り開けることにある。「ユーシンはマツダとスズキを顧客に持ち、ミネベアミツミとしても日産自動車に製品を納入している。今回の買収で、ホンダへのプラチナチケットが得られた」(貝沼氏)という。
また、海外展開の観点では、ユーシンが欧州に拠点を有しているのに対して、ホンダロックは米国に製造と研究開発の拠点を展開しており、補完関係にある。ホンダロックの買収後は、欧州、米国、アジアの3拠点でグローバルの開発供給体制が確立できるとする。
取扱製品では、ユーシンとホンダロックで重複もあるが、ユーシンではラッチ、ホンダロックでは電子ミラーなどが今後の事業展開で成長を期待できるという。さらに、ミネベアミツミがこれまで手掛けてきたアンテナ製品やレゾルバ、二次電池冷却ファンなどをホンダ向けをはじめ新たな販売チャネルでの展開が可能になる。
ホンダロックの買収によってアクセス製品事業の売上高は単純合算で2391億円となる。2028年度の事業目標は、売上高3000億円、営業利益率10%となる。現時点でユーシン事業の業績が利益面で厳しいこともあり、営業利益率10%の達成はハードルが高く感じられるが「自動車の電子化が進む中で次世代製品の仕込みが進んでおり、ホンダロックの電子ミラーなども今後普及拡大が見込める。国内大手自動車メーカー各社に対してティア1サプライヤーとしての存在感を高めることで、十分に達成することは可能だと考えている」(貝沼氏)という。
なお、ミネベアミツミは東京拠点について、現在の三田東京本部(東京港区三田)を引き払って、新拠点に移転する方針だ。東京都港区東新橋のビルを732億円で購入し、名称は「ミネベアミツミ 東京クロステックガーデン」を予定している。入居は2023年3月となる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- オムロンが半導体・MEMS事業をミネベアミツミに譲渡、滋賀県野洲市の関連工場も
オムロンは2021年6月30日、半導体・MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)工場およびMEMS開発・生産機能を、ミネベアミツミの子会社であるミツミ電機に譲渡することを発表した。株式譲渡は、10月1日に完了する予定。 - 走るクルマからトンネル内のボルトに無線給電、センサーがゆるみ具合知らせる
京都大学とミネベアミツミは2020年10月9日、会見を開き、無線給電技術を活用したトンネル内のインフラ点検の実証実験を開始すると発表した。 - 滑らか制御のレゾルバ付きステッピングモーター、ロボット市場を開拓できるか
ミネベアミツミは、「2019国際ロボット展(iREX2019)」において、ルネサス エレクトロニクスと共同開発したロボット用モーターソリューションを展示。新方式のレゾルバ付きステッピングモーターにより、低速から高速まで高精度かつ静粛な制御を行うことが可能で、小型搬送機、サービスロボット、産業用ロボット、介護ロボット向けに提案する。 - 世界最小サイズの超極小ベアリング、医療機器の超小型精密部品向けに提案
ミネベアミツミは「MEDTEC Japan 2017」の出展概要を発表。従来の最小サイズ品と同等の高い精度、耐久性、高剛性を保ちつつ、さらなる小型化を実現した「世界最小サイズ」(同社)となる外径1.5mmの超極小ベアリングなどを出展する。 - ミツミが79GHz帯ミリ波レーダーを個別部品で試作、Siチップへの集積も視野
ミツミ電機は、「CEATEC JAPAN 2014」において、79GHz帯のミリ波レーダーを参考展示した。展示品は個別部品で回路を構成しているものの、将来的な実用化の際にはシリコン(Si)チップへの回路集積も視野に入れているという。 - 日産「リーフ」のレアアース削減モーターはレゾルバも変更、ミネベア製に
日産自動車がマイナーチェンジした電気自動車(EV)「リーフ」は、走行用モーターの磁石に使用するレアアースのディスプロシウムの量を40%削減している。このレアアース削減モーターの回転角を検知するレゾルバは、ミネベアが開発した。