ミツミが79GHz帯ミリ波レーダーを個別部品で試作、Siチップへの集積も視野:CEATEC 2014
ミツミ電機は、「CEATEC JAPAN 2014」において、79GHz帯のミリ波レーダーを参考展示した。展示品は個別部品で回路を構成しているものの、将来的な実用化の際にはシリコン(Si)チップへの回路集積も視野に入れているという。
ミツミ電機は、「CEATEC JAPAN 2014」(シーテック ジャパン/2014年10月7〜11日、幕張メッセ)において、79GHz帯のミリ波レーダーを参考展示した。展示品は個別部品で回路を構成しているものの、将来的な実用化の際にはシリコン(Si)チップへの回路集積も視野に入れているという。
現在、運転支援システムに用いられているミリ波レーダーは、77GHz帯と24GHz帯、2つ周波数帯が用いられている。77GHz帯は車両前方の中〜長距離を、24GHz帯は車両側方や後方の近〜中距離を検知するのに用いるのが一般的だ。これら2つのミリ波レーダーが使用できる周波数帯域が狭い(77GHz帯が500MHz〜1GHz、24GHz帯は数十〜数百MHz)のに対して、79GHz帯に割り当て可能な帯域幅は3G〜4GHzと広い。このため、中距離を広い範囲で高精度に検知する用途に最適だといわれている(関連記事:大衆車にも求められる「予防安全」)。
79GHz帯の周波数帯域の割り当ては欧州が先行していたが、日本でも総務省が2014年8月に発表した周波数割り当て計画で79GHz帯をミリ波レーダーに使用する方針が示されている。今回のミツミ電機の参考展示は、この流れを受けたものになる。
ミツミ電機の説明員によれば、「今回の展示で当社の技術力が反映されているのは、79GHz帯ミリ波レーダーの送信と受信に用いる超小型アンテナになる。ゲインは14dBiを達成した。個別部品と導波管で構成した送受信回路については、将来的にCMOSプロセスを用いてSiチップに集積することを検討している」という。
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