ミネベアミツミが8本槍戦略の推進に向けM&Aを加速、本多通信やホンダロックなど:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
ミネベアミツミは2022年8月5日、オンラインで会見を開き、2022年度(2023年3月期)第1四半期(4〜6月期)の決算と併せて、本多通信工業や住鉱テック、ホンダロックなど直近のM&Aの狙いについて説明した。
ミネベアミツミは2022年8月5日、オンラインで会見を開き、2022年度(2023年3月期)第1四半期(4〜6月期)の決算と併せて、本多通信工業や住鉱テック、ホンダロックなど直近のM&Aの狙いについて説明した。
同社は中長期の事業成長に向けて「8本槍戦略」を推進している。ここで言う“槍”の定義は「大きな市場の中のニッチ市場であること」「その製品は簡単な技術革新ではなくならない」「当社の強みが生かせる製品であること」「“槍”とされる各製品間でシナジーがあること」となっている。そして8本の槍の内、中核の4本として挙げられているのが、旧ミネベアの主力事業である「ベアリング」、ミネベアとミツミがともに手掛ける「モーター」、ミツミの他に買収したエイブリックやオムロンの事業も加わる「アナログ半導体」、買収したユーシンが扱う自動車向けのラッチやドアハンドルなどを中心とする「アクセス製品」である。残り4本については、主にミツミが手掛けてきた「センサー」「コネクター/スイッチ」「電源」「無線/通信/ソフトウェア」であり、これらはM&Aなどによって強化していく方針を示していた。
ミネベアミツミ 代表取締役 会長兼社長執行役員の貝沼由久氏は「現在の事業成長をけん引するボールベアリング、モーター、アナログ半導体に光デバイスが加わる“3本槍+1”は計画通り、もしくは計画を上回る状況にある」と説明する。
コネクターとアクセス製品の両事業を強化
今回、5本目の槍を構成するコネクター事業を強化するため2022年7月29日に買収を発表したのが本多通信工業と住鉱テックである。本多通信工業はパナソニック ホールディングスの所有株式21.67%分を含めて株式公開買い付けを行い、100%子会社とする方針。買収総額は約162億円7400万円を見込む。住鉱テックは、親会社の住友金属鉱山から株式100%を譲り受ける。買収金額は非公開となっている。
本多通信工業は、コネクターの設計技術力で高い評価を得ているものの、海外において営業拠点が手薄で工場も持たないためグローバル展開ができないことが課題だった。住鉱テックは、車載分野を中心に複雑な端子や部品をカスタムで設計/生産する技術力を持つものの、より大規模な量産に向けた生産能力に課題があった。一方、ミネベアミツミが扱うコネクター製品は汎用品が多く、本多通信工業や住鉱テックの“ニッチトップ”な高い付加価値がないことが課題になっていた。今回の買収によって、互いの課題を補うととともに技術、生産、販売でのシナジーを実現し、8本槍戦略に沿ったグローバルニッチトップのコネクターメーカーとしての展開が可能になる。
貝沼氏は「今後さまざまな製品において高速伝送化が進むとともに、信号/形状などのニーズが多様化し拡大する。例えば、自動運転で用いられるセンサーやネットワーク向けの車載コネクターに多彩なラインアップで対応していく。3社統合によってコネクター事業の地盤を固め、売上高を現在の単純合算の338億円から2028年度には500億円に伸ばし、営業利益率も10%を確保する。ポテンシャルとしては、目標の前倒しやより高い営業利益率の達成も十分可能だと考えている」と強調する。
一方、2022年8月4日に買収を発表したホンダロックについては、現時点でユーシンを中核とするアクセス製品事業の強化が狙いになる。親会社のホンダから株式100%を譲り受ける。買収金額は非公開。
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