AI学習機能を組み込んだ6軸MEMSモーションセンサーを発表:人工知能ニュース
STMicroelectronicsは、ISPUを搭載したMEMSモーションセンサー「ISM330ISN」を発表した。エッジ側のセンサー内部におけるAI学習を可能にする。バッテリー駆動の資産追跡機器、ロボットなどへの利用を見込む。
STMicroelectronicsは2022年6月16日(現地時間)、ISPU(インテリジェントセンサープロセッシングユニット)を搭載したMEMSモーションセンサー「ISM330ISN」を発表した。エッジ側のセンサー内部におけるAI(人工知能)学習を可能にする。同年後半から量産開始予定で、1000個購入時の単価は約3.48米ドル(約481円)。3×2.5×0.83mmのパッケージで提供する。
ISM330ISNは、常時オンの3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーを備える。ISPUにより、センサー内部で信号処理とAIアルゴリズムを実行し、モーション検出処理を可能にした。センサーとマイコンを1パッケージ化した場合と比べて、実装面積と消費電力を半減している。
出力データレートは最大6.6kHzで、ノイズも低く、消費電流は高性能モードで0.59mA。DSPベースのアーキテクチャで、40KBのRAMを内蔵し、センサーダイに使用するゲート数は8000だ。
ISPUのプログラミングには、オンデバイス学習ソリューション用ソフトウェアツール「NanoEdge AI Studio」を利用できる。データサイエンスの知識がなくても、最適化されたML(機械学習)ライブラリを容易に自動作成可能だ。また、AI学習機能付き異常検知用ライブラリを最小限のデータと操作で設計できる。
IoT(モノのインターネット)機器や産業機器に適しており、予知保全用の状態モニター機器、バッテリー駆動の資産追跡機器、ロボットなどへの利用を見込む。
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