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皮脂RNAを常温保存できる技術を開発、郵送検査サービス提供へ医療機器ニュース

花王は、皮脂RNAを常温で安定的に保存、輸送できる技術を構築した。同技術を用いた郵送検査サービスの開発をヘルスケアシステムズとともに進めており、2022年内のサービス提供開始を目指す。

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 花王は2022年6月23日、皮脂から採取したRNA(リボ核酸)を常温で安定的に保存、輸送できる技術を構築したと発表した。同技術を用いた郵送検査サービスの開発をヘルスケアシステムズと共同で進めており、2022年内のサービス提供開始を目指す。

 皮脂上にはRNAを分解する酵素が存在しており、皮脂RNAは常温で放置すると分解されてしまう。そこで今回、RNA分解酵素の立体構造を変性させるグアニジン塩酸塩と、酵素がRNAを分解するときに必要な水を吸収する乾燥剤を組み合わせて保存安定化剤を開発した。

 ヒトの皮膚細胞由来のRNAを用いて常温における保存安定化剤の有用性を検証したところ、37℃で3日間保存したRNAは、−80℃の保存条件とほぼ同じ程度残存した。一方、保存安定化剤を用いずに37℃で保存した場合は、RNA量は検出限界近くまで低下した。

キャプション
保存安定化剤の有無によるRNA残存率の比較[クリックで拡大] 出所:花王

 次に、保存安定化技術を用いて、皮脂RNAを採取した後、常温で保存できる容器を開発した。自宅で採取した皮脂RNAを、開発した容器に保存して常温輸送する試験を実施したところ、試験参加者150人全ての例で輸送後のRNA分析が可能であり、常温で安定して保存、輸送できることが示された。

 花王はこれまでに、皮脂にRNAが存在することを発見し、体や肌のさまざまな状態を把握できる可能性がある「皮脂RNAモニタリング」を構築。皮脂RNAは体を傷つけずに簡単に採取できる一方で、RNAを安定的に保存するには超低温を維持する必要があり、採取場所や機会が限られていた。

 皮脂RNAを常温で保存、輸送することが可能になったことで、自宅などさまざまな場所で皮脂RNAを採取できるようになり、皮脂RNAモニタリングの用途が広がる。

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