新たなフロンティアはメタバース、アクセンチュアが語るその可能性:製造業メタバース(2/2 ページ)
アクセンチュアは2022年7月5日、世界の最新テクノロジートレンドに関する調査レポート「Technology Vision 2022」の記者発表会を、3次元の仮想空間「メタバース」上で開催した。登壇者や報道陣も自身の分身「アバター」で参加した。
重要なのはリアルか否かではない
アンリアルでは、失われた声などを再現できる一方、ディープフェイクも生み出すなど功罪の両面を持つAI(人工知能)の技術を取り上げた。
すでにアンリアルとリアルとの見極めは困難になっており、山根氏は「人間はアンリアルなものにも感情移入できる。重要なのは、リアルかアンリアルかではなくオーセンティシティー(ホンモノ感)で、その醸成には一貫性のある目的、共感を持ったストーリーが重要」と述べ、対話形式でアドバイスするP&Gのバーチャルエージェントや、バーチャルインフルエンサー「リル・ミケーラ」などの例を紹介した。ただ、AIの社内統制や関連法の整備推進の必要性なども説いた。
不可能を可能にするコンピューティングでは、世界の経営幹部の多くが量子コンピュータなど次世代技術に大きな期待を寄せている調査結果を提示し、これらはメタバースの基盤技術としても必要になっていくと山根氏は言明した。一方で、数値的な性能向上にとらわれるのではなく、「技術革新は一定の量がそろった段階で社会の総変異を起こす。量が質に変化するタイミングを見極める必要がある。企業は技術投資を行う前に何をするべきかを定めるべき」(同氏)とも話した。
最後に山根氏は「これからはデジタルアセットが価値を持ち、個人の能力を拡張するメタバースが求められていく。物理の世界にいる企業は、個人をエンパワーすることが求められる。企業は責任あるメタバースを構築すべき」と促した。
アクセンチュアはTechnology Visionを毎年発表しており、今回で22回目の発表となる。また、同社は2022年にメタバースコンティニウムビジネスグループというメタバース専門の部署を新たに立ち上げている。
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