熟練技能をAIが継承、経験と勘の数値化へ協力:FAニュース
芝浦機械とマクニカは、加工オペレーターの熟練技能を継承するため、AIを活用することを発表した。工作機械の加工状況の管理や工具の摩耗管理を自動化し、産業機械の高度化を図る。
芝浦機械は2022年6月20日、AI(人工知能)で熟練技能を継承し、産業機械の高度化を図るため、マクニカとの協業を発表した。モノづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)に向け、熟練技能者に依存していた作業の自動化を目指す。
両社はAIを活用し、芝浦機械が展開する高速、高効率の門形マシニングセンタ「MPF」シリーズにおいて、チッピングやびびりなどの加工状態を判断して最適制御につなげる機能の開発を進めている。その検討過程でマクニカは、同社のAI専門家組織「AI Research & Innovation Hub(ARIH)」が提供するAI社会実装サービス「Re:Alize」を活用してAI実装を支援する。
加工オペレーターは加工状態を自らの経験と感覚を基に判別するが、今回のAI活用によりこれを自動化。AIは加工情報をリアルタイムに取得し、その情報から加工状態を推定する。オペレーターの技術と経験を知能化することで、工作機械の加工状況の管理や工具の摩耗管理を自動化し、生産効率向上と品質の均一化を図る。
また、熟練技能者の匠の技をデジタル化するデジタイゼーション、AIの1種となる自己符号化器を活用した未知データの追加学習を可能にした。同じくAIの1種である敵対生成ネットワークを活用し、異常時のデータを学習させることで本物に近い贋作データの量産に成功。他に、行動追跡が困難なAIのモデル構造を見直し、内側で何が起きているかを視覚的に理解できるモデルを作成できた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 扉を開けて台車を運ぶ、芝浦機械が手足一体型の移動型双腕ロボットを披露
芝浦機械は、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)において、台車をそのまま運び、扉の開け閉めやワークの積み下ろしを行える移動式ロボット2機種を参考出展し、デモンストレーションを行った。 - マクニカ、生産状況をリアルタイムで可視化するIoTインフラ基盤を構築
マクニカは、東洋新薬のインテリジェンスパーク工場の生産状況をリアルタイムで可視化するIoTインフラ基盤を共同開発した。 - システムエンジニアリング事業を強化し、ロボットシステムを販売
芝浦機械は、システムエンジニアリング事業の強化に向け、専属の営業チーム「制御機械カンパニー制御機械営業部制御システム営業課」を新設した。工場内物流向けロボットシステムを「ロジロボ」シリーズとして販売する。 - “芝浦機械”の長期ビジョン、「モノ+コト」ビジネスを拡大へ
芝浦機械(旧東芝機械)は、「新生『芝浦機械』長期ビジョン2030」を発表した。グローバル製造業が直面するメガトレンドに卓越した技術革新で応え、社会的課題の解決と企業価値向上を目指す。 - 出展7社のロボット稼働情報をリアルに表示、Edgecrossでつながる世界をアピール
Edgecrossコンソーシアムは、「2022国際ロボット展(iREX2022)」(東京ビッグサイト、2022年3月9〜12日)に出展し、会場内の他社ブースに出展されたロボットと接続しリアルタイムで遠隔監視を行った。また、Edgecrossを活用して遠隔地でエンジニアリングを行った連携ラインのデモを披露した。 - マクニカ、横河電機の予測型AIプロジェクト向け製品導入を支援
マクニカは、横河電機の予測型AIプロジェクトにおいて、H2O.ai製の機械学習自動化プラットフォーム「Driverless AI」と、Luminoso製の自然言語分析AI「Luminoso Daylight」の導入を支援した。