資材価格高騰の影響は1兆4500億円に、トヨタは数年単位の体質改善で吸収:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
トヨタ自動車は2022年5月11日、2022年3月期(2021年度)の通期決算を発表した。営業収益が前年度比15.3%増の31兆3795億円、営業利益が同36.3%増の2兆9956億円、当期利益が同25.9%増の2兆8501億円となった。
2022年度の見通しは
2023年3月期(2022年度)の通期業績見通しは、営業収益が前年度比5.2%増の33兆円、営業利益が同19.9%減の2兆4000億円、当期利益が同20.7%減の2兆2600億円を見込む。為替レートは1ドル=115円、1ユーロ=130円に設定した。
2022年度の連結販売台数は前年度比7.5%増となる885万台を計画しており、各地域で増販を見込む。トヨタ・レクサスの販売台数は同4.1%増の990万台を見込む。生産台数には、現時点で把握できている半導体不足や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響などを織り込んで、トヨタ・レクサスで970万台の生産を想定している。
このうち、電動車販売は同13.6%増の307万台を目標としており、電動車比率は2.6ポイント増の31.0%を目指す。各地域のニーズに合わせた商品ラインアップを一層充実させるとしている。米国では燃料価格の高騰でHEVの販売が増えた実績があり、燃料価格の高騰がグローバルでHEV販売の追い風になるとみている。
市場の見通しは「いつも以上に難しい」(トヨタ自動車 CFOの近健太氏)という。世界全体を見て、プラス要因はコロナ禍からの回復だ。マイナス要因としては、資材価格を含むインフレ、ロシアのウクライナ侵攻、半導体を含む供給の制約などがある。これらを踏まえて、中国と米国は2021年度を若干上回る見通しで、日本とアジアは前年度並みを見込む。「欧州が一番予測が難しい」(近氏)。市場の前提が変われば、それに合わせて見直しを進めていくとしている。
2022年度の業績予想のうち、営業利益は為替・スワップの影響を除くと7750億円の減益となる。販売台数の増加など営業面の努力で8150億円、原価改善で3000億円といった増益要因がある一方で、資材高騰で1兆4500億円、諸経費で4400億円などが減益要因となる見通しだ。
資材価格の高騰は、過去に例のないレベルの水準だという。「材料価格の高騰分はトヨタ自動車で負担するというルールにしている。それに基づいて、足元の相場などをグローバルに見積もった結果1兆4500億円となっている。このうち半分が海外の事業体だ。円安の影響で数字が大きくなったわけではない。材料の使用量を減らせないか、安価な材料に切り替えられないか、検討を続けていかなければならない。さらに、付加価値となる商品開発で訴求していくことも必要だ。単年度で1兆4500億円を吸収するのは難しいが、着実な取り組みを継続していくことが数年後の競争力になっていく。危機感を持ってやっていきたい」(近氏)。
コストアップを車両価格に反映するかどうかについては、「さまざまなユーザーがいて、日常の足としてクルマが不可欠な人もいる。資材価格を反映するのが難しい製品もある。きめ細かく見ながら価格を決めていきたい。トヨタにはロングセラーのモデルも多く、商品力や価格の相場感も知られている。期待に沿えないということにならないよう、単年度ではなく時間をかけて原価改善に取り組んでいきたい」(近氏)という方針だ。
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