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資材価格高騰の影響は1兆4500億円に、トヨタは数年単位の体質改善で吸収製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

トヨタ自動車は2022年5月11日、2022年3月期(2021年度)の通期決算を発表した。営業収益が前年度比15.3%増の31兆3795億円、営業利益が同36.3%増の2兆9956億円、当期利益が同25.9%増の2兆8501億円となった。

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 トヨタ自動車は2022年5月11日、2022年3月期(2021年度)の通期決算を発表した。営業収益が前年度比15.3%増の31兆3795億円、営業利益が同36.3%増の2兆9956億円、当期利益が同25.9%増の2兆8501億円となった。

 連結販売台数は前年度比7.6%増の823万台、トヨタ・レクサスの販売台数は同4.7%増の951.2万台だった。電動車比率は4.7ポイント増加して28.4%となった。電動車の販売台数は270.3万台で、前年度から25.4%増加した。

2021年度の販売実績(左)と業績(右)[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 営業利益は、為替やスワップの影響を除くと前年度から2800億円のプラスとなった。資材高騰で6400億円、諸経費で2200億円の減益要因があったが、原価改善で2800億円、販売台数の増加や金融事業の収益改善により8600億円といった増益要因によって、為替やスワップの影響を除く営業利益でプラスを確保した。なお、為替レートが円安で推移した影響では6100億円の増益となった。

 地域別の営業利益は、販売台数が前年から1割減少した日本も含めて全ての地域で増益となった。為替変動の影響や原価改善、営業面の努力が寄与した。

 リーマンショック前後とコロナ禍前後を比較すると、販売台数が前年度比15%減の756.7万台となり、4610億円の営業赤字に転落した2009年3月期に対し、2021年3月期は同じく前年度比15%減の764.6万台だったが、2兆1977億円の営業黒字を保った。

 これは損益分岐台数の引き下げが大きく影響している。リーマンショック時の損益分岐台数を100とすると、足元では60〜70まで損益分岐台数が下がっており、体質改善が進んだ。2021年度通期の業績も、こうした体質改善の成果だとしている。

2021年度の営業利益の増減要因(左)。2015年度との比較(右)[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 カンパニー制の導入、“町一番”を目指した地域やユーザーへの寄り添い、共通プラットフォーム「TNGA(Toyota New Global Architecture)」の導入なども収益性の向上に貢献した。主要15カ国のうち11カ国でシェアを拡大した他、米国ではTNGA導入以降、トヨタ車の中古車価格の上昇もみられた。

 為替や販売台数で収益を伸ばしていたカンパニー制導入前と2021年度の営業利益を比較すると、為替や資材価格、販売台数の減少などはあったが、販売価格の改定や販売費用の抑制、新車の品質向上による金融事業での収益改善など2兆円を超える増益要因を生み出した。

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