SCM事業の成長に向け“腹をくくった”パナソニック、株式上場で投資マネー獲得へ:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2022年5月11日、同日開催の取締役会で決定した、事業会社のパナソニック コネクトが展開するサプライチェーンマネジメント(SCM)事業の株式上場に向けた準備開始の狙いなどについて説明した。
多額の投資マネーが流入しているからこそ「早く走らなければならない」
パナソニック コネクト CEOの樋口泰行氏も「AIや機械学習を駆使したサプライチェーン最適化の手法は大変高度化しており、そのニーズも高まっている」と強調する。SCMソフトウェアのグローバルの市場規模は2021〜2026年で年平均14.3%で成長する見込みである一方で、他のITソリューションと比べてオンプレミス比率が高くクラウドベースのSaaSの伸びしろは大きい。そして、多額の投資マネーも流入している。「だからこそ、早く走らなければならない」(樋口氏)。
まずは、これまでの伝統的なサプライチェーンを、ブルーヨンダーが展開するクラウドベースのSaaSソリューションによってモダンサプライチェーンへと変革する。そして、パナソニックのセンシングやロボティクスの技術、ブルヨンダーとパナソニックの連携で生み出すAI・コンピューティング技術を組み合わせて、現場情報をリアルタイムで取り込んだEnd to Endソリューションで全体最適化を実現する「オートノマスサプライチェーン」がSCM事業の目指す姿となる。
新規上場するSCM事業では、R&D強化やM&A投資によってブルーヨンダーのSaaSソリューションを強化し、既に一定のシェアを獲得している欧米での事業拡大につなげていく。また、ブルーヨンダーのSaaSソリューションとパナソニックの技術や現場最適化ソリューションを組み合わせた効率的なSCMの実現を目指すとともに、この効率的なSCMをパナソニックグループ内や国内顧客に展開して磨き上げ、グローバルに横展開してスケール拡大を図る。そして、ブルーヨンダーのSaaSソリューションの導入余地が大きい国内市場で、パナソニックの顧客基盤とブランド力を活用して浸透を図る。
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