コラム
高値づかみでも「パナソニック コネクト」にはブルーヨンダーが必要だった:製造マネジメント メルマガ 編集後記
7000億円超は確かに高い買い物ですが、今後きちんと生かせるかが重要です。
高値づかみでも「パナソニック コネクト」にはブルーヨンダーが必要だった
2021年3月上旬に一部報道で表面化した、パナソニックによる米国サプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューション大手・ブルーヨンダー(Blue Yonder)の100%子会社化ですが、同年4月23日に正式に発表されました。既にパナソニックは2020年7月にブルーヨンダー株式の20%を取得していましたが、残り80%の株式の追加取得で56億米ドル、ブルーヨンダーの既存有利子負債返済分15億米ドルで、買収総額は71億米ドル(約7650億円)に上ります。
パナソニックは、2019〜2020年度に事業入れ替えや資産売却を進めたことで約1兆円の資金創出超過になっていたということで、買収の原資が十分に担保されてはいますが、7000億円超が巨額の買収であることに変わりはありません。同社が1991年に行った米国映画大手MCAの買収が失敗に終わったことや、2009年12月に子会社化した三洋電機の統合が成功したとはいえない現状などもあり、企業買収が得意というイメージはありません。“家電の”パナソニックが、畑違いのITソリューションベンダーを買収して、相乗効果を生み出して成長軌道に乗せられないのではないかという見方は強く、週明けの4月26日から同社の株価は下げ基調です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ≫MONOistメールマガジン編集後記バックナンバー
- ブルーヨンダーはCNS社の“専鋭化”に必須、パナソニックが7650億円で買収
パナソニックがサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューションを展開するブルーヨンダーの100%子会社化について説明。2020年7月に8億米ドルで同社の20%の株式を取得していたが、残り80%の株式の追加取得について、同社と、実質的な株主である投資会社2社との間で最終合意した。買収総額は71億米ドル(約7650億円)に上る。 - パナソニックはSCMソリューションの協業先になぜブルーヨンダーを選んだのか
パナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社は2020年6月24日、オンラインで記者会見を開き、同社が出資を発表したBlue Yonder(ブルーヨンダー)との協業によるサプライチェーンマネジメント(SCM)ソリューション事業の方向性について説明した。 - パナソニックが「Let's note」でサプライチェーン革新、在庫ロス1割削減目指す
パナソニックとBlue Yonderジャパンは、ノートPC「Let's note」などを手掛けるパナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社傘下のモバイルソリューションズ事業部(MSBD)において、Blue Yonderのサプライチェーン計画系ソフトウェア「S&OP」を導入したことを発表した。 - 「パナソニック コネクト」も登場、持ち株会社制移行後の子会社7社の社名を決定
パナソニックは2021年2月25日に開催した取締役会において、2022年4月1日付で予定している持ち株会社制移行後の事業体制の概要と、現在のカンパニー制における各事業部門の事業を承継する分割承継会社(分割準備会社)となる完全子会社の設立を決議したと発表した。 - パナソニックCNS社の樋口氏が進める改革は海外へ、北米で新会社発足
パナソニックは、北米のシステムソリューション事業を強化する。コネクティッドソリューションズ(CNS)社に関連する北米の子会社を統合し「パナソニックシステムソリューションズ ノースアメリカ社」として新たにスタートさせる。