「現場」起点で融合、パナソニックとブルーヨンダーが歩むサプライチェーン改革:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
パナソニックの新たな事業会社の1つ「パナソニック コネクト」となる予定のパナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社の戦略について2021年10月22日、同社社長の樋口泰行氏、同社上席副社長の原田秀昭氏、2021年9月に買収が完了したBlue Yonder CEOのGirish Rishi(ギリッシュ・リッシ)氏が、報道陣の合同取材に応じた。
パナソニックは2021年10月1日、2022年4月の持ち株会社制への移行を見据え、従来の社内カンパニー制度を廃止し、新体制における8つの事業会社を想定した仮想的な組織体制へと移行した。新たな事業会社の1つ「パナソニック コネクト」となる予定のパナソニック コネクティッドソリューションズ(CNS)社の戦略について2021年10月22日、同社社長の樋口泰行氏、同社上席副社長の原田秀昭氏、2021年9月に買収が完了した米国Blue Yonder(ブルーヨンダー) CEOのGirish Rishi(ギリッシュ・リッシ)氏が、報道陣の合同取材に応じた。
ブルーヨンダーと共に新事業会社「パナソニック コネクト」へ
樋口氏は2017年に発足したCNS社としての取り組みについて「経営の根幹には健全なカルチャーが必要だとさまざまな改革に取り組んできた。強い会社になるために俊敏で前向きで進化する組織の実現が必要だった。まず東京に本社を移し、働き方の近代化や内向き業務の廃止、ICTツールの活用拡大、モチベーション向上策の実施、ダイバーシティ強化への取り組みなどを進めてきた」と組織面でのさまざまな実績を振り返る。
加えて、戦略面でも「各事業でまず製品力、オペレーション力、ビジネスモデル強化への取り組みを進めてきた。顔認証関連ソリューションや現場プロセス系の強化を進める中、構造改革などを推進。その中で、大きなものがブルーヨンダーの買収だ」と樋口氏は語る。
ブルーヨンダーはサプライチェーンソリューションを展開するITベンダーで全世界に約3100社の顧客を持つ。パナソニックとは2019年1月に協業を発表し、同年4月に合弁会社を設立。2020年5月の20%出資を経て、2021年9月に最終的に71億ドル(約8000億円)の巨額投資により完全子会社化を完了させた。
「サプライチェーン領域のパッケージソリューションに強みを持つブルーヨンダーの買収は、センシングやIoT、エッジデバイス、ロボティクスの面で強みを持つパナソニックとのビジネス的な親和性があることはもちろん、経営理念や企業文化も近く、多くのことを学ぶ素晴らしいパートナーだ」と樋口氏は述べる。
「現場」起点であることが強み
ブルーヨンダーの強みが、サプライチェーン領域に特化しているという点だ。「サプライチェーン領域に関わる競合のITベンダーもあるが、エンドトゥーエンドでサプライチェーンだけに集中しているところは少ない。クラウドベンダーでは、ある特定業種に特化して地位を築く企業がいくつかあるが『サプライチェーン=ブルーヨンダー』とイメージできるようにしていきたい」とリッシ氏は語る。
さらにリッシ氏は「サプライチェーンの業務を改善するためにはクラウドソフトウェアだけではだめだ。まずはエッジ(現場)からのさまざまな情報をクラウドに取り込み、リアルタイムでフィードバックするというサイクルが必要になる。それにより現場を変えられるところがブルーヨンダーの特徴だ」と訴える。
こうした「現場」起点の考え方が、パナソニックの現場プロセスイノベーションと高い親和性を持ちシナジーを生むという考えだ。樋口氏は「現場系のサプライチェーンは現場が分からないと相談に乗れず、開発もできない。オフィス系だけを相手にしてきたところとはそこが違う。こうした点がパナソニックと親和性が高い部分であり、強みになる」と語っている。
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