金属積層造形のノウハウを群馬発で、ミシュランが共創拠点を太田サイトに設立:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
日本ミシュランタイヤは2022年4月15日、ミシュランタイヤ太田サイト(群馬県太田市植木野町)内に金属積層造形技術の共創型技術拠点「ミシュランAMアトリエ」を開設した。群馬積層造形プラットフォーム(以下、GAM)や産官学の連携を進め、群馬県から新たなモノづくりの姿を発信することを目指す。
積層造形設備と後工程設備も備えるミシュランAMアトリエ
ミシュランAMアトリエでは、金属積層造形における設計ノウハウから造形、後工程まで一連の作業を行える環境を用意している。金属3Dプリンタは、パウダーベッド方式(PBF)の「FormUp350」を2台設置している。「FormUp350」の造形サイズは350×350×350mmで、積層ピッチは20〜100μm、造形精度は±0.03mmだとしている。金属粉末を扱うために、減圧室を用意し、金属粉末が外部に漏れないようにしている。その他、サポート材除去や表面仕上げなどの各種設備も用意している。
このミシュランAMアトリエを活用したGAMの具体的な活動としては、主に金属積層造形についての「教育」「実用化支援」「共同開発」の3つを実施する。教育では、入門(e-Learning)、初級、中級、上級など、レベルに応じた教育プログラムを用意。基礎的な知識を身に付ける。「実用化支援」については、積層造形の適用相談から高度技術サポートまで幅広く支援する。3Dデータに基づいてPOC(概念実証)のための造形なども行う。支援には、日本ミシュランタイヤのエンジニア5人と、GAMの6社から1人ずつの合計11人が対応する。「共同開発」は、GAMでのノウハウの共有と共同研究、効率的な知見の蓄積と活用などを進める。「GAMには“群馬”の名前が入っているが、群馬以外の企業の参画についても問題はない」(鈴木氏)。今後は、新たな参加企業などを募りつつ、早期の実用化実績を作ることを目指しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ミシュラン合弁会社がモジュール式金属3Dプリンタを国内で本格展開
ミシュランの合弁企業であるフランスのAddUp(アダップ)は、パウダーベッド式金属積層造形装置「FormUp 350」最新機を発表し日本での展開を開始した。 - 金属3Dプリンタ活用3つのハードルと日本のモノづくりの今後
金属3Dプリンタ関連の技術開発が急速に進み、海外を中心に製造事例も聞こえてくるようになった今日、その動きに取り残されないよう、従来の考え方や経験にとらわれない仕事をしていくことが、今後はより重要になっていきそうだ。 - 金属3Dプリンタは量産対応とともに「誰でも使える」を目指す、ソフトウェアも続々
東京ビッグサイトで「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」が開催された。その中で金属3Dプリンタは海外を中心に10社以上の製品が並んだ。 - 足し引き自在で効果は無限大! 金属3Dプリンタと切削加工の複合機投入が本格化
「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」で大きな見どころの1つとなったのが、工作機械と金属3Dプリンタの複合機だ。金属を「足す」3Dプリンタと金属を「引く」切削加工機が組み合わさることでモノづくり現場にどういう価値をもたらすのだろうか。 - 世界の金属3Dプリンタ市場、2025年度に2500億円と推計
日本能率協会総合研究所は、世界の金属3Dプリンタ市場調査の結果を発表した。造形精度や速度が向上した金属3Dプリンタは、欧米を中心に製造現場への導入が増えており、2025年度には世界市場が2500億円規模になる見込みだ。