世界の金属3Dプリンタ市場、2025年度に2500億円と推計:3Dプリンタニュース
日本能率協会総合研究所は、世界の金属3Dプリンタ市場調査の結果を発表した。造形精度や速度が向上した金属3Dプリンタは、欧米を中心に製造現場への導入が増えており、2025年度には世界市場が2500億円規模になる見込みだ。
日本能率協会総合研究所(JMAR)は2021年2月25日、同社が提供するリサーチプラットフォーム「MDB Digital Search」にて、世界の金属3Dプリンタ市場調査の結果を発表した。
金属3Dプリンタは、3D CADなどで作成した3次元の設計データを基に、材料の金属粉をレーザーや電子ビームを使って固め、立体の形状に積み上げて造形品を作る装置だ。切削や鋳造では製造が難しい、複雑な形状を造形したり、複数の部品を組み合わせて作成するものを1つの造形品として一体成型したりできる。多品種少量生産や一品物の生産が容易になるため、部品点数の大幅な削減、リードタイム短縮、在庫削減などが可能になる。
近年、金属3Dプリンタの造形精度、速度が向上し、欧米を中心に製造現場にも導入されるようになってきた。例えば、航空宇宙や自動車、医療などの分野で、付加価値の高い製品を中心に使用されているという。
世界の金属3Dプリンタ市場は、2019年度は1300億円だったが、2025年度には2500億円規模になることが見込まれる。
2019年度の同市場を地域別に見ると、欧州と北米が中心となっており、この2エリアで60%以上の売り上げを占めている。日本市場が世界に占めるシェアは10%に満たないが、2014〜2018年度にかけて実施された産業用3Dプリンタ技術を開発する産官学連携プロジェクトの成果が実用化され、今後は国内市場での需要拡大が期待される。
金属3Dプリンタには、さまざまなタイプや価格帯のものがある。製造現場で使用する50cm以上の造形に対応可能な大型機は1億円以上、直径25cm程度のものを造形できる中型機は5000万円以上、オフィスでの使用を想定した小型品造形用のデスクトップ型は5000万円を下回る低価格となっており、需要を獲得している。
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