再エネ100%使用の街は「日本初」、大阪府吹田市にスマートタウン登場:脱炭素(2/2 ページ)
Suita サスティナブル・スマートタウン協議会は2022年4月8日、同年4月29日に街開きを予定する多世代居住型健康スマートタウン「Suita サスティナブル・スマートタウン」の説明会を開催した。パナソニックグループをはじめとする企業群が、街全体でのカーボンニュートラルや住民などのウェルビーイング向上に向けたサービスなどを提供する。
IoTによる見守りサービスも提供
エネルギー分野では、街で消費する電力を再生可能エネルギー100%で補う「日本初」(Suita SST協議会)の「再エネ100タウン」を実現する。実質的に再生可能エネルギー由来の電力を関西電力が調達し、Suita SSTに供給する。同取り組みは、街開きから最低でも5年間は継続する予定。また、太陽光発電やEV(電気自動車)、蓄電池、先進ガス機器などを活用したエネルギーレジリエンス対策の街への実装も進める。
ウェルネス分野ではIoT(モノのインターネット)を活用した健康サポートプログラムの提供などを行う。サービス付き高齢者住宅では、エアコンの見守りセンサーや家電リモコンの操作記録などから日常行動の変化を収集して高齢者の認知機能変化を検知し、学研ホールディングスが提供するエビデンスに基づいたケアサービスを提供する。
また、スマートフォンを通じて収集したパーソナルヘルスケアデータを一括管理して、クリニックや薬局と連携しつつ、データに基づいた最適なヘルスケアサービスを興和が提供する。この他、竹中工務店による、ヘルスケアを意識した街の空間設計も進める。
セキュリティ分野では綜合警備保障が、街中に設置したカメラを通じた画像分析を行い、歩行者の転倒や滞留、車いすや白杖の有無などを検知するシステムを提供する。モビリティ分野ではプライム ライフ テクノロジーズが提供する小型EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッドカー)のカーシェアリングの実施や、吹田市のシェアサイクルモデル実証実験と連携する。コミュニティー分野ではパナソニック ホームズとプライムライフテクノロジーズを中心に「Suita SSTタウンマネジメント」を組織して、Suita SST協議会や住民らと連携した、新規ビジネスの導入や実証実験の実施などを進める。
パナソニックホールディングス 代表取締役 社長執行役員 グループ CEOの楠見雄規氏は、Suita SSTを通じて実現を目指す街づくりの在り方について、「長年当社は家電などのメーカーとして製品づくりをしてきた。そこで培った、顧客のくらしに寄り添い製品を考えるという、くらし起点の発想で街づくりを設計して、分野を横断したサービスやソリューションを、パートナー企業と連携しつつ実現していく」と説明した。
また、同社 副社長 執行役員の宮部義幸氏は、Suita SSTにおける今後の取り組み方針について、「Suita SSTで培ったノウハウを活用して、他企業や組織と連携した共創イノベーションの取り組みで社会課題を解決していく。他関西地域の盛り上げにも貢献していきたい」と語った。
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