前田技研、ExtraBoldの大型3D付加製造機を活用した造形サービスを開始:3Dプリンタニュース
前田技研は、ExtraBoldの大型3D付加製造機「EXF-12」を活用した造形受託サービス事業を開始した。最大造形サイズが1700×1300×1000mmで、ABS、PP、PLA、エラストマーなどの熱可塑性樹脂(ペレット材)を材料として利用できる。
前田技研(愛知県岡崎市)は2022年3月14日、ExtraBold(エクストラボールド)の大型3D付加製造機「EXF-12」を活用した造形受託サービス事業を、同年3月から開始したことを発表した。
造形受託サービス事業は、2023年2月に竣工(しゅんこう)予定の前田技研の新工場が完成するまでの間、ExtraBoldの本社(東京都豊島区)内に設置された前田技研の「MG東京ファクトリー」にて行われる。同サービス事業では、EXF-12の“量産1号機”として2021年10月に納入されたものを活用する。
ExtraBoldが開発/製造/販売するEXF-12は、充填(じゅうてん)された樹脂ペレット材を、射出成形スクリューを利用した独自設計のヘッドによって熱溶解押し出し積層造形する工業用グレードの大型3D付加製造機である。
EXF-12の最大造形サイズは1700×1300×1000mmで、ABS、PP(ポリプロピレン)、PLA(ポリ乳酸)、エラストマーなどの熱可塑性樹脂(ペレット材)を材料として利用できる。
EXF-12は従来の3Dプリンタの課題であった造形速度や造形サイズ、使える材料の制約を解決することが可能で、開発スピードの向上に加え、最終製品への適用により、モノづくりプロセスを大きく変革することが可能だという。
また、造形受託サービス事業の開始に伴い、ExtraBoldは前田技研との協業を発表。ExtraBoldは、前田技研が展開するMG東京ファクトリーでの造形受託サービス事業をサポートすると同時に、ここで得られた知見やフィードバックなどを、EXF-12のさらなる改良や大型3D付加製造機の研究開発に役立てながら、市場開拓を進めていくとしている。
前田技研は、EXF-12のテスト運用段階で既に複数企業から造形テストを受注し、実績を出し始めているという。併せて、自社展示用のサンプル造形も数多く手掛けており、ランプシェードなどの比較的小さい雑貨類から、バイクや自動車用の大型パーツなどをEXF-12で製作している。その他、前田技研が所有する5軸加工機で製作したアルミ削り出しオリジナルフレームを搭載するカスタム「スーパーカブ」(ホンダ)の樹脂パーツ部(フロントフォークカバーやシートなど)の製造に、EXF-12が用いられている。
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