製造現場で使えるコンテナサイズの大型3Dプリンタ、量産機の販売を開始:3Dプリンタニュース
ExtraBoldはペレット材を使用できる樹脂押し出し方式の工業用大型3Dプリンタ「EXF-12」の量産機の販売開始を発表。製造現場で使用する工業用グレードの3D積層造形機として位置づけ、2020年に発表した量産試作機をベースに、開発から製造までを“ALL JAPAN MADE”で完成させた。
ExtraBold(エクストラボールド)は2021年9月1日、ペレット材を使用できる樹脂押し出し方式の大型3Dプリンタ「EXF-12」の量産機の販売開始を発表した。
同製品(量産機)を、製造現場で使用する工業用グレードの3D積層造形機として位置づけ、2020年に発表した量産試作機(関連記事:コンテナサイズの超巨大3Dプリンタが設計を一から見直してパワーアップ)をベースに、開発から製造までを“ALL JAPAN MADE”で完成させた。自動車部品や家具など、大型の造形物をそのまま製品として利用することはもちろんのこと、住宅関連のエクステリアや型枠、大物の樹脂型、鋳造のマスターモデルとしての活用などを見込む。
独自開発の3Dプリントヘッド、工作機械をベースとするフレーム構造
量産機の最大造形サイズは幅1700×奥行き1300×高さ1000mmで、ABS、ポリカABS、PP(ポリプロピレン)、PLA、エラストマー、CFRP(炭素繊維強化樹脂)など、さまざまな汎用(はんよう)樹脂ペレット材やリサイクル樹脂ペレット材を使用できる。
射出成形のスクリューとノズルを応用した独自開発の3Dプリントヘッドを搭載し、1時間当たり最大15kg(ノズル径8mmの場合)の高速造形を実現する。ヘッド数はシングル、ノズル径は2〜8mmに対応。温度コントロール機能を備えた専用設計のチャンバールームによって、造形時の樹脂の熱収縮や反りを抑えた安定した造形を可能にする。
基本構造については、製造現場での利用を想定して一から設計した。工作機械をベースにフレーム構造とし、高い剛性と十分な機械精度を確保。駆動系にボールねじを採用し、スムーズかつ高精度な3Dプリントヘッド部の動作を実現した。コントローラーにはファナック製の「FS31i」を搭載する。
量産機の外形寸法は幅3500×奥行き2100×高さ2120〜2930mmで、12フィートコンテナに格納できるサイズを実現。重量は2t(トン)。必要設置スペースは幅4200×奥行き3150×高さ3100mmで、エアコンプレッサーなどが必須となる。その他、使用温度環境などは一般的な工作機械とほぼ同条件だという。
搬入/搬出については、フレーム構造を採用しているため、コンテナでの移動以外にも、クレーンやフォークリフトで持ち上げることができる。また、本体底面にはキャスターも付いているため、設置後に人力で位置を微調整することも可能だ。
ユーザーが最初に行う造形テストでは、“自分でカスタマイズ可能なものを作る”というコンセプトの下、装置本体の外装パネルを出力する。
本体価格は6000万円前後、第1号ユーザーは前田技研
量産体制の構築および量産機の製造については、小橋工業のグループ会社であるKOBASHI ROBOTICSに委託。エクストラボールドの技術メンバーも加わりながら、KOBASHI ROBOTICSの工場で量産機の製造を進めるという。また、外装デザインについては石川県金沢市を拠点とするクリエイター集団seccaが手掛けた。洗練された外装デザインに加え、使い勝手の良い操作性を配慮したハードウェアインタフェースなどの監修もseccaが担当した。
量産機の本体価格は6000万円前後で、納期は3カ月程度を見込む。2022年度の販売目標は10台を予定する。既に第1号ユーザーとして、自動車関連部品や試作金型などを手掛ける前田技研からの受注を獲得しており、2021年9月に納品予定だ。エクストラボールドは、国内市場をターゲットに量産機の販売を進めるとともに、近い将来、海外展開も計画するとしている。
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