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ナレーション付きのオンライン用プレゼン資料を作る技術者のための資料作成とプレゼン講座(7)(3/3 ページ)

どんなに素晴らしい内容の発表でも、それが読み手や聞き手にうまく伝わらなければ意味がない。本連載では、技術者の皆さんを対象に、相手に伝わる発表内容の構成や資料の表現方法などについて伝授する。第7回は、オンラインセミナーのコンテンツ作成をテーマに、“ナレーション付き”プレゼン資料の作り方を詳しく紹介する。

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ナレーションに音声合成ツールを使う

 筆者の場合、自分の声を録音して聞いてみて絶望しました。声そのものがこもっていて、滑舌もいまひとつ……。ハギレも悪くて、専門用語は噛んでしまう……。通る声を持っている人がうらやましい限りです。しかし、どんなに素晴らしい声を持っていても、ナレーションを録音するときに風邪気味ではどうしようもありません。

 また、自分の声でナレーションを録音するには環境に注意を払う必要があります。会社であれば会議室で録音できますが、在宅勤務だとそうもいきません。携帯電話が鳴ったり、宅配便のピンポンが鳴ったり、クルマのクラクションが聞こえてきたり……。ノイズのないクリアな音を録音するのは思ったよりも大変です。

 そんなときに役立つのが合成音声ツールです。人工音声となると、少し前までは、まるでロボットが喋っているような感じで、ビジネス仕様のプレゼンにはイマイチでした。ところが最近では本当に人が喋っているような人工音声がたくさん登場しています。有償のものはもちろんそれなりに優秀ですが、フリーでも有償のものに匹敵するような音声合成も出てきました。先ほどダウンロードしていただいたファイル(ナレーション付きプレゼン資料.pptx)もナレーション部分は合成音声を使っています。

 Webサービスの人工音声もありますが、特別な用語のイントネーションが変更できなかったり、文字数に制限があったりなどの制約があります。

 これまで筆者は商用の人工音声ソフトウェアを使っていたのですが、ちょっとした問題が発生し、代替えのソフトを探しました。

 そこで出会ったのが「VOICEVOX」です。商用/非商用問わず無料で使えて、アクセント、イントネーションや音の長さを調整できます。自分の意図しない語句を思った通りに微調整できます。さらに速度や抑揚まで調整可能。これまで使っていた商用ソフトより高機能です。ただ1つの欠点は男性の声がないことです。現在、5人のキャラクターがいますが、その全てが女性です。そして、ほとんどがアニメ声。ただし数カ月以内に男性キャラクターが追加されるそうです。

VOICEVOXの設定画面
図4 VOICEVOXの設定画面[クリックで拡大]

 実は、本稿が書き上がる直前で「Office 365」のPowerPointがアップデートされました。「レコード(録画)」ボタンが「共有」の横に配置されました。基本は同じですが、録画画面も変更されました。Microsoftもプレゼンの録画と共有に着目しているということです。

 最後に完成したプレゼンの動画をご覧ください。

動画1 ナレーション付きプレゼン資料

 今回、紹介したテクニックを使って、最小限のストレスで出来栄えの良いオンライン公開用のプレゼン資料を作ってみてください! (次回へ続く

コラム:

長いプレゼンとなると、途中で休憩を挟むことがあります。休憩の間にプレゼンの画面には何を表示していますか?

大規模なセミナーともなると、主催者側がシャレた画面を用意して、出力のスイッチングでそれに切り替えて休憩となります。休憩中のスライドには「○○分から開始です」とか、「アンケートのお願い」が表示されます。

自分だけのプレゼンの場合はそうもいきません。そこで、ほんの少しの休憩時間に表示する「休憩タイマー」のスライドを作ってみました。5分計です。アニメーションのパラメーターを変えれば、好きな時間に設定できます。

皆さんのプレゼンのちょっとした休憩時間にぜひ活用してみてください。


⇒ 連載バックナンバーはこちら

Profile

栗崎 彰(くりさき あきら)

1958年生まれ。2022年に合同会社ソラボを設立。1983年より、構造解析に従事。I-DEASの開発元である旧SDRC 日本支社、CATIAの開発元であるダッソー・システムズ、サイバネットシステムでシニア・スペシャリストの職を経て現在に至る。多くの企業で3D CADによる設計プロセス改革コンサルティングや、設計者解析の導入支援を行う。特に設計者のための講座「解析工房」が人気。解析における最適なメッシュ・サイズを決定するための「OK法」を共同研究で模索中。


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