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茶葉の品質をスマホでAI分析、伊藤園が新技術開発:製造IT導入事例
伊藤園は2022年2月9日、AI(人工知能)の画像解析による荒茶の品質推定技術を開発したと発表した。同年春ごろから同社製品の一部産地で試験運用を開始する。
伊藤園は2022年2月9日、AI(人工知能)の画像解析による荒茶の品質推定技術を開発したと発表した。同年春ごろから同社製品の一部産地で試験運用を開始する。
荒茶とは、茶畑で収穫した新鮮な生葉に「蒸す」「もむ」「乾燥させる」という一次加工を施したもののことである。
従来、茶葉の品質評価は官能検査によって行われてきた。官能検査技術の習得には長い年月を必要とするが、専用の成分分析機器を使用した客観的な品質評価を行う手法も確立されている。ただ、成分分析機器は高額なため、大規模な生産農家でないと導入が難しいという課題があったという。
これに対して伊藤園は、農産物の品質情報化システムを展開するマクタアメニティの「おいしさの見える化」技術を活用して、AI画像解析による荒茶の品質推定技術を開発した。手持ちのスマートフォンで撮影した画像をクラウド上でAI解析することで、荒茶に含まれるうまみ成分であるアミノ酸成分の状態を簡単に推定できる。荒茶の品質向上と検査のコスト低減などに貢献する可能性がある。
伊藤園は現在、茶葉生産などを含めた持続可能な農業モデル「茶産地育成事業」を展開している。今回発表した技術は、茶農業の発展と普及に向けた当社施策の1つに当たるとしており、今後も「安心、安全で高品質な緑茶原料の安定調達と、日本農業の課題解決の両立に取り組んでいく」(プレスリリースより)としている。
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