AI外観検査支援サービスを切り口に、日立が食品製造業のデジタル化を提案:FOOMA JAPAN 2019
日立製作所は、「FOOMA JAPAN 2019(国際食品工業展)」において、食品製造をはじめさまざまな分野に適用可能な「AI外観検査支援サービス」を展示。併せて、食品分野向けのデジタルソリューションも提案した。
日立製作所は、「FOOMA JAPAN 2019(国際食品工業展)」(2019年7月9〜12日、東京ビッグサイト)において、食品製造をはじめさまざまな分野に適用可能な「AI外観検査支援サービス」を展示した。
同社のAI外観検査支援サービスは、学習用画像を集積するとともにAI学習エンジンを用いたネットワークモデルの生成を行うクラウド基盤、カメラ、レンズ、照明といった撮像システムやクラウド基盤で生成したネットワークモデルを実装して良否判定を行うエッジコンピュータなどから成るエッジシステム、良否判定の結果に基づきNG品を系外に排出するなどの制御を行う搬送系システムから成る。システム全体としては日立製作所が開発しており、撮像系システムは日立産業制御ソリューションズが、搬送系システムは日立産機システムが担当している。
同サービスの特徴は、日立のグループ力を生かした、クラウド基盤からエッジシステム、搬送系システムに至るまでのオールインワンでの提供と、先端研究を行う日立研究所との連携によるAI学習エンジンの開発と最適化である。「自動で外観検査を行う対象はさまざま。特に食品のように製品の品種や改廃が多い場合、それに合わせてAIのロジック作成やチューニングも頻繁に行う必要がある。当社のAI外観検査支援サービスは、日立研究所の最先端の知見を活用することで顧客それぞれに最適なAIのネットワークモデルを生成できる」(日立製作所の説明員)という。
既に、同社グループの自動車部品の生産ラインで実採用されている他、食品や消費財の顧客の現場で実証実験も進めている。同説明員は「今後5年間で500サイトの採用を目標にしたい」と意気込んでいる。
デジタルプラットフォームで進める垂直統合と水平統合
食品製造分野における外観検査はまだ人の目視が主流だ。とはいえ、地方の工場を中心に人手不足が深刻になっており、AI外観検査支援サービスはその需要を捉えたものになっている。日立製作所としては、AI外観検査支援サービスをはじめとするエッジの立ったソリューションを切り口にして、食品製造業へのデジタル化の提案も進めたい考えだ。
同社は製造業のデジタル化について、デジタルプラットフォームにより、経営と現場をつなぐ垂直統合、製造拠点間をつなぐ水平統合の両方を進めて行くことが重要だと考えている。「他の製造業と比べて、食品製造業はデータを収集する仕組みがまだ整備されていない。例えば、現場の情報は、紙で記録した後、それをExcelに入力する程度にとどまっている。まずは、このデータ収集の仕組みをデジタル化で効率化するところから始めるべきだろう」(日立製作所の説明員)。
日立製作所は、デジタルプラットフォームで解決したい課題やメリットを明確化する構想策定フェーズを最初のステップとして、そこからデータ基盤構築フェーズ、PoC(概念実証)/PoV(価値実証)フェーズ、システム化フェーズの順にロードマップを描いている。「当社が独自に策定したMaturity Model(成熟度モデル)も活用し、段階的に目的とする姿へ進めて行く」(同説明員)。最近は、食品製造業からの引き合いも増えつつあるということだった。
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