50代対象の求人は増加傾向、「70歳雇用確保努力義務」は半数が対応進まず:キャリアニュース
「ミドルの転職」が「定年延長によるミドル・シニアの活用」についての調査結果を発表した。50代対象の求人が「増えている」と転職コンサルタントの43%が感じていたが、「70歳雇用確保努力義務」には、53%が「対応が進んでいない」と回答した。
エン・ジャパンが運営する求人情報サイト「ミドルの転職」は2022年1月31日、「定年延長によるミドル・シニアの活用」についてのアンケート調査結果を発表した。同調査の対象者は「ミドルの転職」を利用する転職コンサルタントで、199人から回答が寄せられた。
まず、「直近、50代を対象とした求人は増えていると感じますか」と尋ねたところ、「増えている」と43%が回答した。
「増えている」と回答した人に、求人が増えていると感じる企業タイプを尋ねた。その結果、1位は「中小企業」(76%)、2位は「大手企業」と「ベンチャー企業」(ともに35%)だった。2019年に実施した前回調査と比較すると、「大手企業」の回答割合が26%から35%へと9ポイント増加している。
また、50代を対象とした求人が「増えている」と回答した人にその理由を尋ねた。最も多かったのは「若手人材の不足により、採用人材の年齢幅を広げざるを得ないため」(63%)だった。この項目は、2019年の調査でも1位だったが、回答割合が58%から63%へと5ポイント上昇している。また、2019年調査との比較で、回答割合の変化が最も大きかったのは「年功序列から成果主義へのシフトが進んでいるため」で、2019年の6%から、2022年は20%と増えている。
次に、現在の転職市場における50代の雇用の流動性について尋ねたところ、「低い」が8%、「どちらかといえば低い」が37%で、45%が「(流動性が)低い」と回答した。2019年の調査と比べると4ポイント減少しているものの、約半数のコンサルタントが50代の雇用の流動性を低いと見ていることが分かる。
「(流動性が)低い」と感じる理由は、2019年調査と同様に「企業が50代の活用策を考えられていないため」(53%)がトップだった(2019年は59%)。
「低い」と感じる理由で、2019年調査から10ポイント以上上昇した回答は、「定年延長で企業コストがかさみ採用自体が鈍化しているため」(2019年15%、2022年27%)、「50代が担っていた役割を若手など別世代が担い始めたため」(2019年11%、2022年22%)だった。
ミドル層、シニア層活用に向けた企業の取り組みは
続いて、ミドル層、シニア層の活用について取り組んでいる企業は何割程度あると感じるか尋ねた。最も多かったのは「3割」で32%、「5割以上」が29%だった。「5割以上」は、2019年調査での18%から11ポイント増加している。
ミドル層、シニア層の活用について、企業の取り組みとして多いと感じるものは、「年齢軸にとらわれない人事管理」(59%)が最も多かった。次いで「柔軟で多様な働き方への取り組み」(38%)、「人事制度改革」(31%)となっている。
企業の取り組みについての具体的なエピソードとしては、「人事部が現在の求人環境について経営層へ説明し、ミドル層、シニア層の採用を開始した企業があった」「まずは非正規採用で受け入れ、お互いの意向が合えば正社員や幹部に登用するという形があった」などが挙げられている。
次に、2021年4月の改正高年齢者雇用安定法で努力義務となった「70歳までの雇用確保」について、企業の対応を尋ねた。その結果、「対応が進んでいない」と53%が回答した。
改正高年齢者雇用安定法への対応について、企業からよく聞く課題を尋ねたところ、「年齢軸にとらわれない人事管理について検討しきれていない」(39%)が最も多かった。その他、「柔軟で多様な働き方について検討しきれていない」などさまざまな課題が挙がっている。改正法案の骨格発表後、国会に提出される前の2019年調査と比較すると、ほとんどの課題で回答割合が上昇している。
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