滅菌状態で狙った細胞を分取する閉鎖型細胞分取システム:医療機器ニュース
ソニーは、細胞免疫治療法に必要な細胞薬の製造に用いる細胞を高速、高精度、高純度に分取する、閉鎖型のセルアイソレーションシステム「CGX10」を発売する。滅菌状態を維持したまま、細胞分取が可能だ。
ソニーは2022年1月26日、細胞免疫治療法に必要な細胞薬の製造に用いる細胞を高速、高精度、高純度に分取する、閉鎖型のセルアイソレーションシステム「CGX10」を同年秋に発売すると発表した。分析処理速度が1秒あたり1万5000個の場合、純度約97%で細胞を分取できる。
滅菌状態を維持したまま細胞を分取するため、外気と触れない独自の閉鎖型構造を採用。チップ内で細胞を解析後、液の流れの制御で狙った細胞を分取する。
405nm、488nm、561nm、638nmの4種類のレーザー光をチップ内の細胞に照射して得られた情報を、10個のパラメーターに基づき解析することで細胞を分類する。狙った細胞は、液体の流れを制御して分取する。
純度と分取速度のどちらを優先するかを、ユーザーが設定することも可能だ。設計上は、純度優先の設定で純度約97%、分取速度優先の場合は1秒あたり約10万個の細胞分取に対応する。また、細胞のダメージを抑えて分取後の生存率を高めるため、液体を適切に制御する。液体制御用のプラスチックチューブを含むチュービングキットは使い捨てとなっており、他の検体との相互混入を防止する。
がんや自己免疫疾患の細胞免疫療法では、細胞を高精度かつ高純度に分取することで高い効果につながる。CGX10は、遺伝子治療を含む細胞免疫療法や再生医療分野での研究のほか、その後の医薬品製造管理および品質管理に関する基準GMPに適合した細胞製造での活用も期待される。
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