現代自動車がEVとFCVで日本再参入、アリアbZ4Xソルテラの競合モデルを展開:電気自動車(2/2 ページ)
Hyundai Motor(現代自動車、ヒョンデ)は2022年2月8日、乗用車で日本に再参入すると発表した。同社は2009年12月に日本の乗用車市場から撤退していた。2022年5月から電気自動車(EV)「IONIQ 5」(アイオニック5)と燃料電池車(FCV)「NEXO」(ネッソ)の受注を開始し、同年7月から納車する。
「日本は多くのことを学ぶべき場所」
ヒョンデ CEOの張在勲(チャン・ジェフン)氏は、日本再参入について「撤退時に日本で使われていたヒョンデ車は1.5万台。12年たった現在は600台ほどになったが、毎年の車両点検を提供している。一度道を誤った後に、正しい道に戻って改めるという意味のことわざ『迷途知返』の通り、原点に立ち返って一人一人のユーザーに向き合うべきだと判断した。日本市場はわれわれにとって多くのことを学ぶべき場所であると同時に、挑戦すべき場所でもある」と述べている。
ヒョンデの2021年のグローバル販売台数は389万981台で、このうち韓国での販売が72万6838台、それ以外の地域での販売が316万4143台となっている。
2045年に部品調達、生産、使用時の全ての段階においてカーボンニュートラルを実現することを目指している。これに向けて、ヒョンデのプレミアムブランドである「Genesis(ジェネシス)」を2030年までに100%電動化する。2035年には欧州向けの車両を全てEVやFCVとするとともに、韓国で展開する商用車を全て電動車とする。
2040年は主要な市場で販売する車両を全て電動車とする。さらに、同年は「水素エネルギー大衆化の元年」となり、水素技術の活用も拡大すると見込んでいる。再生可能エネルギーによるグリーン水素の製造や、工場向けの電力で液化天然ガスを水素に置き換える取り組みも推進する。
2020年のネッソの販売台数は前年比36%増の6600台だった(なお、2021年のトヨタ自動車でのFCVのグローバル販売は前年比334.4%増の5918台)。欧州向けの燃料電池システムの輸出や、米国エネルギー省と協力したFCVの販売拡大などにも取り組んでいる。
日本撤退後の12年間で、政府がカーボンニュートラルを重視する方針をとり、ゼロエミッション車(ZEV)への補助金が充実したことも再参入を後押しした。現時点で日本における販売目標は設定しておらず、5月の受注開始に向けてブランドの認知拡大に注力するという。
3mのホイールベースを生かした室内空間
アイオニック5は、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が1974年にデザインした「ポニー」をオマージュするとともに、「パラメトリックピクセル」というデザイン要素を取り入れた。3mのホイールベースにより、ゆとりのある室内空間を実現している。運転の合間の休憩でゆったりと過ごすためのシートアレンジ「リラクセーションコンフォートシート」や、全座席シートメモリシステムなどを採用している。
プラットフォームはEV専用のE-GMP(Electric Global Modular Platform)を採用した。駆動用バッテリーから電気製品に電力を供給するV2L(Vehicle to Load)や、自宅に電力を供給するV2H(Vehicle toHome)に対応している。急速充電はCHAdeMOに対応し、出力90kWの充電器を使用した場合は32分間でバッテリー残量10%から80%まで充電できる。
アイオニック5は、レベル4の自動運転車のベース車両としても活用されている。自動運転技術を開発するAptivとヒョンデの合弁会社Motionalは、配車サービス大手のLyftと協力しており、2023年には米国の複数都市でアイオニック5ベースのロボタクシーの運行を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ヒュンダイがボストンダイナミクスを買収、サービスから物流までロボット事業強化
Hyundai Motor(現代自動車)グループは2020年12月11日、ソフトバンクグループが保有するBoston Dynamics(ボストンダイナミクス)株式の約80%を取得すると発表した。 - 自動車にノイズキャンセリングを、ヒュンダイとアナログデバイセズが提携
アナログ・デバイセズは2020年1月23日、Hyundai Motor(現代自動車、ヒュンダイ)と提携し、オールデジタル ロードノイズキャンセレーションシステムを開発すると発表した。ヒュンダイはオーディオシステムやインフォテインメントシステムに、アナログ・デバイセズの高速デジタルインターコネクト技術「A2B(オートモーティブオーディオバス)」を採用する。 - Uberの空飛ぶタクシーはヒュンダイがパートナーに、「自動車の信頼性が生きる」
2023年に商用サービス開始を目指す、Uberによる空の移動「Uber Elevate」。サービスで使用するエアモビリティの開発、生産のパートナーとしてHyundai Motor(現代自動車、ヒュンダイ)が名乗りを上げた。Uber Elevateの責任者であるEric Allison氏は、「エアモビリティでは最初の車体パートナーだ。自動車の大量生産の実績を持つヒュンダイの協力によって、既存の航空産業では難しいスピードでサービスを実現することができる」と語る。 - 現代自が新型可変バルブ機構を開発、開閉期間の制御で排ガス12%改善
現代自動車(Hyundai Motor)グループは2019年7月3日(現地時間)、乗用車用エンジンの動弁機構技術として世界初(同社調べ)となる「Continuously Variable Valve Duration(CVVD:連続可変バルブデュレーション)」を量産化すると発表した。 - ホンダが新車のインターネット販売、オンラインで済ませたい「4.3%」を取り込む
ホンダは2021年10月4日、新車を取り扱うオンラインストア「Honda ON」を開設したと発表した。来店せず、オンラインと郵送で新車購入の契約まで完了できる。 - ホンダが「空飛ぶクルマ」、ガスタービンのシリーズハイブリッドで航続距離4倍に
本田技術研究所は2021年9月30日、新領域の技術開発の取り組みを発表した。公開したのは「eVTOL(電動垂直離着陸機)」「多指ロボットハンド」「循環型再生エネルギーシステム」の3つだ。“ホンダのコア技術”と位置付ける燃焼、電動化、制御、ロボティクスの技術を活用する。