自動車にノイズキャンセリングを、ヒュンダイとアナログデバイセズが提携:車載情報機器
アナログ・デバイセズは2020年1月23日、Hyundai Motor(現代自動車、ヒュンダイ)と提携し、オールデジタル ロードノイズキャンセレーションシステムを開発すると発表した。ヒュンダイはオーディオシステムやインフォテインメントシステムに、アナログ・デバイセズの高速デジタルインターコネクト技術「A2B(オートモーティブオーディオバス)」を採用する。
アナログ・デバイセズは2020年1月23日、Hyundai Motor(現代自動車、ヒュンダイ)と提携し、オールデジタル ロードノイズキャンセレーションシステムを開発すると発表した。ヒュンダイはオーディオシステムやインフォテインメントシステムに、アナログ・デバイセズの高速デジタルインターコネクト技術「A2B(オートモーティブオーディオバス)」を採用する。
ヒュンダイはアナログ・デバイセズとの提携により、車内の騒音を軽減するシステムを開発する。ロードノイズや、タイヤとホイールの間に生じる共鳴音など、車内で聞こえるさまざまなノイズをリアルタイムで分析して逆位相の音波を生成するというものだ。
自動車にアクティブノイズキャンセリングシステムを搭載する上での課題は、必要な入力センサーをECU(電子制御ユニット)に効率的に接続可能で、費用対効果にすぐれた低遅延のネットワーキング技術の利用が難しいことであるという。
A2Bは、シールドのないシングルツイストペア線1本だけで、オーディオデータと制御データ、クロック、電源を供給することが可能で、システムのコスト低減や設計の複雑さの軽減に貢献するとしている。ケーブルの重量は最大75%軽量化でき、燃費改善にもつながる。ヒュンダイは、車内の静粛性向上だけでなく、乗員の体験を向上する車載アプリケーションにもA2Bを応用する。
車内の静粛性は、電動化の進展に伴って従来以上に求められている。ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車などモーターとエンジンを組み合わせる場合だけでなく、エンジン音がないからこそ他のノイズが目立つケースもある。また、運転席では仕事や電話会議を、助手席では映画や音楽を楽しむなど、自動運転技術の高度化に向けてシートごとに独立した過ごし方を可能にする次世代のオーディオシステムの開発も進められている。こうした状況を受けて、アナログ・デバイセズはA2B技術の需要拡大を見込んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- カーオーディオの重量が5分の1に、フォルシアの内装とクラリオンの音響技術で
フォルシア クラリオン エレクトロニクス(以下クラリオン)は2019年7月8日、埼玉県さいたま市の本社で記者説明会を開き、フォルシアグループの一員としての取り組みを紹介した。 - ロードノイズ遮音で4分の1の軽量化、次世代e-POWERを静かにする新技術
日産自動車は次世代の遮音材「音響メタマテリアル」の開発を進めている。シリーズハイブリッドシステム「e-POWER」の搭載車を進化させる方法の1つという位置付けで、静粛性を高めることで電気自動車(EV)の乗り心地に近づける。 - ロードノイズが10dB減少、タイヤのホイールに樹脂部品を足すだけ
ホンダが開発したホイールでロードノイズを低減する技術「タイヤ気柱共鳴音低減デバイス」が「第14回新機械振興賞」の「機械振興協会会長賞」を受賞した。高級車種から搭載がスタートした技術を、普及価格帯までコスト低減を図った点が評価された。 - 自動運転時代は車載音響システムも複雑に、「統合化でコスト削減を」
ブラックベリーは車載音響ソフトウェア「QNX AMP(Acoustic Management Platform)」の最新版「AMP 3.0」の提供を始め。車両内でさまざまなECUやネットワーク配線を用いて構成しているカーオーディオなどの車載音響システムを、1個のSoCで統合管理できるようになり大幅にコストを削減できるという。 - 車両1台で2万円のコスト削減、パナソニックの仮想化活用Androidコックピット
パナソニックは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、1つのSoC(System on Chip)でメーターやセンターコンソールのディスプレイ、サラウンドビュー、リアシート向けのエンターテインメントを動作させるコックピットドメイン制御プラットフォーム「SPYDR 2.0」を発表した。 - イーサネットがなぜクルマに必要? 期待される役割は
インターネット経由で誰とでもつながる時代。個人が持つ端末はワイヤレス接続が大半を占めていますが、オフィスなどではいまだに有線によるローカルエリアネットワーク(LAN)が使われています。そのLANの基盤技術の1つとして広く使われているイーサネット(およびTCP/IP)が、次世代の車載ネットワーク技術として注目を浴びています。本稿では注目される背景、役割や規格動向から、関連するプロトコルの概要まで、複数回にわたり幅広く解説していきます。 - 次世代の車載ネットワーク「CAN FD」とは
セキュリティ対応や自動運転などの車両の高機能化に伴い、より高速な車載ネットワークが求められている。本稿では次世代の車載ネットワークの1つとして考えられているCAN FD導入の背景やプロトコルの概要ついて紹介する。