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車両1台で2万円のコスト削減、パナソニックの仮想化活用AndroidコックピットCES2019

パナソニックは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、1つのSoC(System on Chip)でメーターやセンターコンソールのディスプレイ、サラウンドビュー、リアシート向けのエンターテインメントを動作させるコックピットドメイン制御プラットフォーム「SPYDR 2.0」を発表した。

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コックピットドメイン制御プラットフォーム「SPYDR 2.0」(クリックして拡大)

 パナソニックは、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、1つのSoC(System on Chip)でメーターやセンターコンソールのディスプレイ、サラウンドビュー、リアシート向けのエンターテインメントを動作させるコックピットドメイン制御プラットフォーム「SPYDR 2.0」を発表した。

 さまざまなインフォテインメント機能を統合処理することにより、車両1台あたり約2万円のコスト削減が可能になるとしている。

 また、無線接続で利用可能なGoogle「Android Auto」やApple「CarPlay」、AR(拡張現実)表示に対応するHUD(ヘッドアップディスプレイ)もコックピットソリューションとしてそろえる。

2016年の買収でシナジー

 SPYDR 2.0は、2016年にパナソニックが買収した車載ソフトウェア開発会社オープンシナジーが持つ、ハイパーバイザーを用いた仮想化技術を採用している。メーターのLinux、センターコンソールのAndroid P、メーター表示の故障を診断、修復するリアルタイムOSを1つのSoCで動作させる。リアルタイムOSは、デモの一環でメーターの警告灯の表示を欠損させた時に、異常を検知して自動的に修正した。また、セパレートモジュールなしで、ECU内のノイズ対策も可能だとしている。

 同プラットフォームで乗員向けに提供する機能としては、進行方向の交通情報や路面状況を取得するサービス、インターネットラジオや衛星ラジオ、後部座席のディスプレイでの4K動画コンテンツのストリーミング再生がある。ナビゲーション機能では、GoogleやTomTomといった企業と協力している。


コックピット上部の模型にカメラを4つ装着してサラウンドビューを実演している。写真右上の赤い丸で囲んだカメラは、機械学習で人の認識を行う(クリックして拡大)

 車両の周囲に装着した4つのカメラを合成したサラウンドビューの映像も表示できる。また、乗員はナビゲーション情報を好みでセンターコンソールやメーターに表示させたり、センターコンソールの表示レイアウトを自由に調整することが可能だ。OneConnectによる診断や無線ネットワークでのアップデート(OTA:Over-The-Air)に対応したコネクテッドサービスプラットフォームも統合されている。

 Android AutoやCarPlayといったスマートフォンの機能を車載情報機器に表示する機能は、使用にあたってUSBケーブルで車載情報機器に接続する必要がある。この時のUSB接続はスマートフォンの充電も兼ねている。パナソニックはスマートフォンのワイヤレス充電を手掛ける企業と協力しており、ワイヤレス充電の普及によってUSB接続なしにAndroid AutoやCarPlayを利用することが可能になるとして提案を進めている。CarPlayやAndroid Autoは、自動車メーカー独自のデザインの表示とも共存できるようにした。

CarPlayのホーム画面。ワイヤレス接続でCarPlayを表示している(左)。CarPlay向けのアプリのアイコンをL字型に表示しながら、エアコンの操作画面も表示している(右)(クリックして拡大)

Androidの機械学習機能によって人を検出している様子(クリックして拡大)

 デモでは、最新バージョンであるAndroid Pがコックピットで実現可能な機能を示すため、機械学習で人を認識するカメラもSPYDR 2.0の機能の1つとして紹介した。機械学習による物体の識別はAndroidのキットに含まれた技術であり、ADAS(先進運転支援システム)向けではない。ただ、車内のモニタリングなどでAndroidで画像処理するカメラの活用を提案していく。

 パナソニックはインフォテインメント向けのAndroidの開発についてGoogleと協力している。Googleはインフォテインメント向けAndroidの作り込みを実車で行っており、その開発をパナソニックがパートナーとしてサポートしているという。

視線検知カメラを光源ユニットに


HUDで表示された画像と一緒に赤外線カメラの光源が写り込んでいる。写真右手の画面では、検知結果として顔の代わりに撮影中のカメラが表示されている(クリックして拡大)

 HUDはAR表示に対応するため、ドライバーの視線の位置を検知する。AR表示を実現するには、ドライバーがどこを見ているかに合わせてHUDの表示を調整する必要がある。視線検知には赤外線カメラを使用するが、コックピットには物理的なスペースの制約が多いことを踏まえてHUDの光源ユニットに赤外線カメラを組み込んだ。これにより、身長が異なるドライバーごとに表示を手動で調整する必要がなくなる。

 デモでは縦方向のみ表示を調整していたが、横方向の調整も対応可能だという。また、HUDの光源ユニットに組み込んだ赤外線カメラは、眠気やわき見の検知にも応用する予定だ。

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