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4年間の開発で当初の企画が時代遅れに、パイオニアが背負った大型受注の開発費製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

パイオニアは、2018年3月期決算を発表した。売上高は前期比5.5%減の3654億円、営業利益は同71.3%減の11億円、当期純損益は71億円の損失だった。売上高と当期純損益は3期連続、営業利益は4期連続での悪化となる。

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 パイオニアは2018年5月14日、東京都内で会見を開き、2018年3月期決算を発表した。売上高は前期比5.5%減の3654億円、営業利益は同71.3%減の11億円、当期純損益は71億円の損失だった。売上高と当期純損益は3期連続、営業利益は4期連続での悪化となる。

 減収の主な要因は、自動車メーカー向けに納入する「カーエレクトロニクスOEM事業」の売り上げ減少だ。自動車メーカー向けの製品は、カーオーディオが日本と中国では販売が増加したが、北米で売り上げが減少。自動車メーカー向けのカーナビゲーションシステムは日本で販売が減少した。市販向けは前期並みで、日本や米国でのカーナビゲーションシステムの販売減少を、自動車保険向けのテレマティクスサービスや、欧州・中南米でのカーオーディオの販売増加が補った。

 2019年3月期は売上高が前期比4.0%増の3800億円を見込む。増収に貢献するのは日本向けの売り上げで、テレマティクスサービス、自動車メーカー向けのカーナビゲーションやカーオーディオなどが伸長。新興国向けのスマートフォン連携タイプの新製品も増収に貢献する。一方、減価償却費や開発費の増加によって、営業損益は12億円の黒字から50億円の損失に悪化する。

2019年3月期の地域別の売上見通し(左)と営業利益の増減要因(右)(クリックして拡大) 出典:パイオニア

 2019年3月期の当期純利益予想は、カーエレクトロニクスOEM事業の見直し施策が確定してから公表する。施策は2018年秋に発表する予定。パイオニアにとって課題となっていたのは、自動車メーカーに直接納入する同事業の収益性改善だ。

 収益を大きく悪化させているのは、2017年2月から供給が始まった大型受注案件だという。納入の4年前から企画を立てていたものの、この4年間でクルマとコネクティビティをめぐる環境が変化し、当初の企画が時代遅れなものとなった。そのため、追加でソフトウェアの変更や検証が重なり、開発投資が計画を大幅にオーバーした。今後のカーエレクトロニクスOEM事業では適正な開発費に抑えて行く考えだが、自動運転分野はカーエレクトロニクスOEM事業と切り分け、一定の投資を実施していく。

 先述した案件は売り上げのピークが2020〜2021年ごろになり、減価償却が今期から始まるため、足元の収益改善が厳しい状況が今後2〜3年続く見通しだ。リソースを集中させて開発スピードを向上させるとともに、パートナー企業とのアライアンスを強化して対応していく方針だ。


パイオニアの小谷進氏

 社長の小谷進氏は「協業相手と自動車メーカー向けのビジネスに関して合弁会社を設立するなど、さまざまな選択肢の中から、カーエレクトロニクスOEM事業を持続的に成長させ、よりよい製品を提供する戦略を協議している」と説明した。「市販向け製品も手掛けていることで、技術やニーズの変化を先取りしてソリューションを提案できる。ナビゲーションシステムで培ってきた技術や、10年以上にわたって蓄積してきたビッグデータなどいろいろな強みを持っている。3〜4年先のマルチメディアの在り方を先取りし、システムとして提案できるように変わっていかなければならない」(小谷氏)。


カーエレクトロニクスの課題と施策(クリックして拡大) 出典:パイオニア
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