パナソニックがソフトウェア会社を買収、車載情報機器と運転支援を融合する:車載ソフトウェア
パナソニックは、ドイツの車載ソフトウェア開発会社のOpenSynergyを子会社化した。OpenSynergyの全株式を同年7月22日に取得。同社のソフトウェア技術を活用し、車載情報機器の機能と運転支援システムを統合した次世代コックピットシステムの開発を強化する。
パナソニックは2016年8月9日、ドイツの車載ソフトウェア開発会社のOpenSynergyを子会社化したと発表した。OpenSynergyの全株式を同年7月22日に取得した。同社のソフトウェア技術を活用し、車載情報機器の機能と運転支援システムを統合した次世代コックピットシステムの開発を強化する。
OpenSynergyは、自動車のメータークラスタやヘッドユニット、運転支援システム、カーコネクティビティシステムを統合するコックピットソリューション向けのソフトウェアを専門とする。コックピットシステムやカーコネクティビティシステムに向けたモジュラーソフトウェア開発キット「COQOS SDK」やBluetoothスタック「Blue SDK」などの製品を展開している。
また、OpenSynergyはさまざまな車載ソフトウェア関連の団体に参加している。Bluetooth SIG、GENIVIアライアンス、ARMコネクテッドコミュニティー、Automotive Grade Linux、Linux Foundation、Artopなどのメンバーとなっている。
パナソニック インフォテインメントシステム事業部長の上原宏敏氏は、OpenSynergyを買収した狙いについて「次世代コックピットシステムを実現し、自動運転を見据えたコックピットシステムと先進運転支援システムの融合へ大きく前進するため」とコメントしている。
現在、カーナビゲーションシステムやオーディオなど車載情報機器と、ヘッドアップディスプレイなどを活用して注意喚起する運転支援システムは、個別のシステムで制御されている。今後、ドライバーに直感的に分かりやすく情報を伝達する上では、車載情報機器と運転支援システムのシステム統合を進めていくことが必要だとしている。
OpenSynergyは、パナソニックによる子会社化後も引き続き、ティア1サプライヤや自動車メーカーに対してソフトウェアソリューションを提供する。パナソニックとのシナジーを、よりよいソリューションの展開につなげていく。
関連記事
- 車載Linuxの開発が軌道に乗るもトヨタ自動車は「まだ満足してない」
Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」に関する開発者向けイベント「Automotive Linux Summit 2016」に登壇したトヨタ自動車の村田賢一氏は、「AGLの活動はうまくいっているが、これで満足していない」と語り、新たな活動についての提案を行った。 - デンソーがNTTデータMSEに出資、運転支援とドライバーをつなぐHMI開発を強化
デンソーは、車両のメーターやディスプレイを制御するソフトウェアの開発を強化するため、車載ソフトウェアの開発を手掛けるNTTデータMSEに出資した。自動運転システムのHMI(Human Machine Interface)のソフトウェア開発を効率化することが狙い。 - 車載Linuxのオープンソース活動はアップルとグーグルへの対抗軸に成り得るか
トヨタ自動車などの自動車メーカーが、車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」を中核とするオープンソース活動に注力している。2016年1月には車載情報機器向けの独自ディストリビューションを発表し、参加企業も国内自動車メーカーを中心に増加している。AGLの活動について、Linux Foundationの日本代表ディレクタに聞いた。 - 車載Linuxのオープンソース活動は携帯電話機の轍を踏んではならない
「Automotive Linux Summit 2014」の2日目の基調講演には、パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社のインフォテインメント事業部で技術担当(CTO)を務める水山正重氏が登壇。水山氏が、「オープンソース活動では、議論だけに時間を費やすべきではない。開発成果を実装する必要がある」と語る背景には、携帯電話機の開発を担当していた際の経験があった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.