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トヨタのオープンソース活用戦略、コネクテッドカーは「協力」でできているAutomotive Linux Summit 2018レポート(1/2 ページ)

Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクトAutomotive Grade Linux(AGL)が開発者向けイベント「Automotive Linux Summit」を開催。その基調講演にトヨタ自動車 コネクティッドカンパニー コネクティッド戦略企画グループ プロジェクトゼネラルマネージャーの村田賢一氏と、トヨタ自動車 知的財産部 コネクティッドビークルグループ プログラムマネージャーの遠藤雅人氏が登壇した。

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 コネクテッドカーにオープンソースソフトウェアが必要なのは、コストダウンではなく”一貫性”のため――。Linuxベースの車載情報機器関連のオープンソースプロジェクトAutomotive Grade Linux(AGL)が開発者向けイベント「Automotive Linux Summit」(2018年6月20〜22日、東京コンファレンスセンター・有明)を開催した。

 その基調講演にトヨタ自動車 コネクティッドカンパニー コネクティッド戦略企画グループ プロジェクトゼネラルマネージャーの村田賢一氏と、トヨタ自動車 知的財産部 コネクティッドビークルグループ プログラムマネージャーの遠藤雅人氏が登壇。コネクテッドカーにおけるオープンソース活用の重要性や、特許リスクへの取り組みを紹介した。

インフォテインメントシステム、ネットワーク基盤、スマホ連携の取り組み


トヨタ自動車の村田賢一氏

 自動車が通信機を搭載することにより、車両の状態やセンサーから得た車内外の情報をクラウドに集めて分析することが可能になる。こうしたデータを分析した結果は、研究開発や製品企画、品質改善、マーケティング、販売後のメンテナンス、故障の診断や予知など幅広く活用できる。また、ドライバーに情報を提供するテレマティクスサービスや、運転の仕方に応じた自動車保険、車両の再販価格の査定など、新しいサービスも生み出す。

 村田氏は「データを集めて分析するというのは、簡単には実現できない」と語った。「個々のクルマにソフトウェアが必要だが、それは共通化されていなければならない。以前は、ティア1サプライヤー複数社が車種ごとにバラバラに開発を行っていた。そうなると、車種ごとにクラウドができてしまう。一貫したソフトウェアの挙動が必要なので、AGLの採用を進めている」(村田氏)。現在、AGLの要件をまとめたコードドキュメントをサプライヤーに提供しており、サプライヤーもAGLをベースにさまざまな課題解決に取り組んでいるという。


AGLの取り組みの歴史(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

 トヨタ自動車は2017年に発売した北米市場向け「カムリ」のインフォテインメントシステムにAGLを採用した。開発したシステムのうち、AGLのコードが70%を占めており、カスタマイズや既存のソフトウェア資産は30%にとどまった。今後は限定生産などで台数が少量の車種を除き、レクサスブランドも含めて新型車に広くAGLを採用していく考えだ。

 コネクテッドカーの開発では、車両に搭載するインフォテインメントシステムだけでなく、自動車向けにデータを収集、配信する環境の構築や、ドライバーが車内に持ち込んだスマートフォンとの連携も必要になる。これらに関しても、トヨタ自動車では自動車業界の内外と連携して取り組んでいる。

 2017年8月には、インテル(Intel)やエリクソン(Ericsson)、デンソー、トヨタIT開発センター、日本電信電話(NTT)、NTTドコモの7社は2017年8月10日、自動車ビッグデータ向けネットワーク基盤とコンピューティング基盤の構築を目的とする「Automotive Edge Computing Consortium(オートモーティブ・エッジ・コンピューティング・コンソーシアム、AECC)」を創設した。

 村田氏はAECCの現在の取り組みについて「全世界のコネクテッドカーの情報を一気に集めると、データが多すぎてクラウド基盤や通信回線に大きな負担がかかる。そのため、クルマに近いエッジでデータを集めて処理し、上層に上げていくことになるだろう。今、通信業界とも協力して要件を議論しており、膨大なデータをどこにどのように持っていくかを固めている」(村田氏)と説明。

 AECCでは、定義した要件を関連する標準化団体、業界コンソーシアム、ソリューションプロバイダーとの連携に活用していく。一方、AGLでは2019年1月に発表予定の「UCB(ユニファイドコードベース)」の最新バージョンで自動車とクラウドの接続を強化する計画で、AECCとAGLの連携も進展しそうだ。

 スマートフォンと車載情報機器の連携でもオープンソースを活用する。プラットフォームとして「Smart Device Link(SDL:スマートデバイスリンク)」を導入することをFord Motor(フォード)とともに2015年に発表済みだ。こうした取り組みを融合することで、コネクテッドカーを実現に近づける。


コネクテッドカーに関する技術的な課題はオープンソースソフトウェアなど企業を超えた連携で解決する(クリックして拡大) 出典:トヨタ自動車

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