ニュース
MLCC製造工程で使用するPETフィルムのリサイクルシステムを構築:FAニュース
TDKは、積層セラミックコンデンサーの製造工程で使用される、PETフィルムを再利用するシステムを構築した。これまで焼却処分されることが多かったPETフィルムを再利用することで、廃棄物や二酸化炭素排出量の削減に貢献する。
TDKは2022年1月14日、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製造工程で使用される、PETフィルムを再利用するシステムを構築したと発表した。
MLCCの製造工程では、通常、誘電体ペーストの塗布時に表面を特殊処理したPETフィルムを用いる。このPETフィルムは使用後、主に焼却処分され、リサイクルされる場合も、焼却時の熱エネルギーを利用するサーマルリサイクルという形が多かった。
同社が今回構築したリサイクルシステムでは、廃棄するPETフィルムの表面を洗浄し、ペレット状のPET樹脂に戻す。その樹脂を同システム構築の協業先である東レが製膜化してフィルムにする。同フィルムにTDKが特殊処理を施すことで、MLCCの製造工程で再利用できるようになる。
東レの調査では、このリサイクルPETフィルムは、従来のPETフィルムと比べて製造時のCO2発生量を、約10%削減するという。
TDKは、同システムを2022年1月からMLCC製造向けに順次導入し、リサイクルPETフィルムを使用していく。今後は、MLCC以外の製品づくりにも使用し、リサイクルPETフィルムの使用率を20%まで高めて、製造時の廃棄物やCO2排出量の削減に貢献する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない「CO2ゼロ工場」
「カーボンニュートラル化」が注目を集める中、製造業にとっては工場の「実質的CO2排出ゼロ化」が大きなポイントとなります。本稿では「CO2ゼロ工場」のポイントと実現に向けてどういうことを行うのかを簡単に分かりやすく紹介します。 - パナソニック、日欧2工場のCO2実質排出量ゼロを達成
パナソニックは、再生可能エネルギー発電設備の導入や再生可能エネルギー由来電力の調達などにより、2019年1月に日欧2工場で同社初の二酸化炭素実質排出量ゼロを達成したと発表した。 - リチウムイオン電池の正極材製造とリサイクル、産学でCO2排出量とコストを半減
東京大学生産技術研究所とプライムプラネットエナジー&ソリューションズ、パナソニック、豊田通商は2022年1月26日、リチウムイオン電池の材料製造プロセスやリサイクルに関する共同研究を開始すると発表した。共同研究の成果は、2025年以降にEV(電気自動車)が増えていくのに間に合わせる形で実用化したい考えだ。 - リサイクルプラスチックを材料に、東京五輪の表彰台を3Dプリンタで製作
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使われる、表彰台98台が完成した。使用済みプラスチックから再生したリサイクルプラスチックを材料に3Dプリンタで製造したもので、慶應義塾大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏が設計統括を務めた。 - 深刻な材料不足と高騰化、設計現場で何ができるか?
2022年は引き続き、半導体不足とともに、樹脂不足が製造業に大きな影響を与える見通しです。材料や調達部品が手に入らず、代替品の利用を検討するなど各社対策を講じ始めていますが、設計現場として何かできることはないでしょうか? 「樹脂使用量の削減」「部品点数の削減」「代替品への対応」という3つの視点で、どのようなアプローチがとれるのか、その可能性について考えていきます。 - 半導体や樹脂不足、サプライチェーン混乱への対応に迫られる2022年
ワクチン接種なども含め“Withコロナ”への動きが進んだ2021年。製造業においても復調が期待されたが、そこに水を差したのが半導体不足などを含むサプライチェーン混乱だ。2022年はこれらへの一時的対処が進む一方、今後も断続的に生まれるサプライチェーンの問題を抑制するような根本的な対応強化も進む見込みだ。