リサイクルプラスチックを材料に、東京五輪の表彰台を3Dプリンタで製作:3Dプリンタニュース
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使われる、表彰台98台が完成した。使用済みプラスチックから再生したリサイクルプラスチックを材料に3Dプリンタで製造したもので、慶應義塾大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏が設計統括を務めた。
慶應義塾大学は2021年7月12日、同大学 環境情報学部 教授の田中浩也氏が、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で使われる表彰台を3Dプリンタで製作するプロジェクトの設計統括を務めたと発表した(関連記事:3Dプリンタだから実現できた東京五輪表彰台プロジェクトとその先【前編】)。
田中氏の研究室では、3Dプリンタで出力可能なリサイクルプラスチック材料を作るため、廃ガラスと組み合わせた材料改質研究や、表彰台を高速かつ高品質に製造するための軌道設計(工作機械プログラミング)に取り組んだ。試行錯誤を重ね完成した製造データを基に、計98台の表彰台を3Dプリンタで作製した。
表彰台は、市民参画型「みんなの表彰台プロジェクト」により、全国のスーパーや学校、企業などから回収した使用済みプラスチックを再生したリサイクルプラスチックを材料とする。
同プロジェクトでは、3つの点において3Dプリンタの強みが生かされたという。1つ目は、3Dプリンタは複雑な形状を出力できることから、形状を自由に検討できたこと。今回製造した表彰台は、大会エンブレムの3次元立体レリーフ形状を取り入れており、彫りの陰影が光に照らされて豊かな表情を生む。
2つ目に、デジタルデータを活用することで、多くの関係者の意見を取り入れつつ、方針変更に柔軟に対応でき、試作から量産まで高い品質のまま3Dプリンタを活用することができた。
3つ目として、同表彰台は製造時にゴミがほとんど出ず、騒音も少ない。環境にも人にも優しい製法で作られた表彰台は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の基本コンセプトと合致する。
田中氏は、3Dプリンティングによって、廃プラスチックを「より長く使用されるもの」へと昇華させ、社会に再び送り出すことを「リープサイクル」と命名した。田中氏の研究室では、今後も、地球のサスティナビリティに貢献する技術として3Dプリンティングの可能性を探求していくとしている。
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