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スマート工場化の「現場の巻き込み」問題をどう解決するかいまさら聞けないスマートファクトリー(16)(3/3 ページ)

成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第16回では、スマートファクトリー化で必要な「現場の巻き込み」について紹介します。

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「デジタル技術でできること」に気付かないパターン

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なるほど。よく分かりました。他のパターンとしてはどういうものがありますか。


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そうね。もう1つよくあるパターンが「現場でデジタル技術を活用したアイデアが出ない」というものね。


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アイデアですか?


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例えば、変種変量生産など、現場で作るモノが日々変わるような製造現場では「こうすればもっと生産性が上がるのに」という気付きは、現場作業を実際に行っている作業者以外はあまり思い付かないわよね。でも、現場の担当者は「デジタル技術」への知見もない場合が多くて「デジタル技術を使ったらこんなことができるのに」という発想が生まれない場合が多いように見えるの。そこを引き出す工夫が必要だということね。


 日々変化する製造現場での細かい「改善のアイデア」は現場で働く人からしか生まれません。これは日本の製造現場が強みとしてきたところです。しかし、こうした人々は製造現場の専門家である一方、IoT(モノのインターネット)などを含むデジタル技術が製造現場にどういう効果をもたらすのかという知識がない人も多くいます。そのため、新たな知識の提供によって、改善の発想の枠組みを広げること可能です。このような知識の定着により、日々の改善活動の中に自然な形でデジタル技術の活用を組み合わせることができるようになり、運用の問題の解決にもつなげられるようになります。

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確かにうちも品目によってはそうですね。そもそもデジタル技術で何ができるのかが分からないのに「使ってこれだけ改善できる」というアイデアも生まれませんもんね。もっとそういう知識が浸透すれば、現場からも新しいアイデアをたくさん引き出せるかもしれません。


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そうそう。そういうことよ。現場でデジタル技術を使いこなせるような普及やトレーニング活動みたいなものが重要になるわね。


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ありがとうございました。実際に進められるように検討してみます。


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頑張ってね。


 実際にスマートファクトリー化を次々にスパイラルアップしている企業では、現場に対するデジタル技術の座学を含めた教育などを行っているところも多くあります。これによりデジタル技術の活用をイメージできれば、新たな発想の改善を生み出すことができます。また、こうした課題に目を向けて、現場でのIoT活用についての教育普及を推進する「ファクトリーサイエンティスト協会」などの団体も生まれています。これらの社内外の仕組みを活用し、改善のアイデアとデジタル技術を結び付けることができれば、「デジタル改善」の形が見えてきます。そして、成果が目に見えるようになれば、現場側も自然な形で前向きな取り組みへと進むと考えます。


 さて、今回はスマート化で悩みとして語られる「現場の巻き込み」について取り上げました。次回は逆に「経営陣の巻き込み」について掘り下げたいと考えています。

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