製造現場にデジタルの目を、ファクトリーサイエンティストが生み出す価値とは:モノづくり最前線レポート(1/2 ページ)
ベッコフオートメーションは2021年3月24日、オンラインイベント「ベッコフウェブテクノロジーセミナー2021〜春〜」を開催。同イベント内のパネルディスカッションとして「ファクトリーサイエンティストが牽引(けんいん)するものづくりの未来」をテーマに、ファクトリーサイエンティスト協会の活動について紹介した。
ベッコフオートメーションは2021年3月24日、オンラインイベント「ベッコフウェブテクノロジーセミナー2021〜春〜」を開催。同イベント内のパネルディスカッションとして「ファクトリーサイエンティストが牽引(けんいん)するものづくりの未来」をテーマに、ファクトリーサイエンティスト協会の活動について紹介した。
デジタル技術と製造現場を結ぶ
ファクトリーサイエンティスト協会は、国内においてIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術を活用した工場での生産性改善への取り組みなどが広がる一方で、こうしたITなどに関する知見と製造業の現場の実情などの両方を理解できる人材が不足している課題に対し、これらを解決できる人材を育成することを目的に、2020年4月に正式に設立された協会である。
パネルディスカッションでは、ベッコフオートメーション(日本法人)の代表取締役社長 川野俊充氏をモデレーターとし、ファクトリーサイエンティスト協会 代表理事の大坪正人氏(由紀精密 代表取締役社長)、同会理事の田中浩也氏(慶応義塾大学 環境情報学部 教授)と長島聡氏(きづきアーキテクト 代表取締役)が登壇し、それぞれの立場での見解を述べた。
オンラインパネルディスカッションを行うベッコフオートメーションの川野氏(左上)、ファクトリーサイエンティスト協会 代表理事の大坪氏(右上)、同理事の長島氏(左下)、同理事の田中氏(右下)(クリックで拡大)出典:ベッコフオートメーション
ファクトリーサイエンティスト協会の設立意図について大坪氏は「IoTは特別なことではなく通信インフラやデバイスの進化により、誰にとっても使いやすくなってきている。しかし、IoTの活用に必要な知識と製造現場の技術者が持つ知識とはギャップがあり、これらを埋める必要がある。製造現場の技術者がIoTの仕組みや必要な最低限の知識を実践的に覚えてもらうということが狙いだ。工場にデジタルの目を与えることを目指している」と語っている。
2019年に田中氏が所属する慶応義塾大学 湘南藤沢キャンパスで、今回のパネルディスカッションに登壇した4人が主催する形で夏期講座を開講し、非常に良い手応えを得たことから、2020年4月に一般社団法人として協会の設立を行った。
田中氏は「以前の学生はデジタル技術のみへの関心が高く、ITでの起業が多かったが最近ではデジタル技術だけでなくモノづくりと掛け合わせて何をするのかという動きが増えている。両方で社会の課題を解決したいというものだ。また、日本の大学も今後、全年齢や全世代に開かれたものになっていく中で、技術を学びなおすという場として開かれた教育の場も重要となる。これらの背景の中で、製造業とデジタルを結び付けた人材育成の場が求められていると考えていた」と語っている。
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