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スマート工場化が行き着くと、現場の「働きがい」はどうなるのかいまさら聞けないスマートファクトリー(15)(1/4 ページ)

成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第15回では、スマートファクトリー化で置き忘れられた「現場の働きがい」について取り上げます。

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 スマートファクトリー化は製造業にとって大きな関心事であるにもかかわらず、なかなか成果が出ない課題を抱えています。本連載では、スマートファクトリーでなかなか成果が出ないために活動を縮小する動きに危機感を持ち、より多くの製造業が成果を得られるように、考え方を整理し分かりやすく紹介しています。第15回となる今回は、スマートファクトリー化で置き忘れられがちになっている「現場の働きがい」について取り上げます。

本連載の趣旨

 本連載は「いまさら聞けないスマートファクトリー」とし、スマートファクトリーで成果がなかなか出ない要因を解き明かし、少しでも多くの製造業がスマートファクトリー化で成果が出せるように、考え方や情報を整理してお伝えする場としたいと考えています。単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じてご紹介します。

架空企業の背景

 従業員300人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「第4次産業革命を進める」と指示され途方に暮れます。そこで、第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに訪問し、さまざまな課題に立ち向かいます。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、どっぷりのめり込む。最近閉塞感にさいなまれている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。インダストリー4.0などを中心に製造業のデジタル化についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

 さて、前回のおさらいです。第14回の「事例で振り返る協働ロボットの使いどころ」では、産業用ロボットと人手の間で「使いどころを探すのに苦労する」という声の多い協働ロボットについて、活用の考え方を事例を含めて紹介しました。

 協働ロボット導入を進めるためのヒントとして印出さんが説明していたのが「人手作業の中で『進んでやりたくはない』というような作業を協働ロボットで置き換えられないかを考える」ということでした。

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協働ロボットの用途は、人と産業用ロボットの間の領域で、使えるところを探すことになるけれど、現実的には日本の工場では「困ったら人力」じゃないけど、人手による作業が非常に幅広く残っているわよね。そこで「実はあまりやりたくないなあ」と思うところを協働ロボットで置き換えることを考えるということね。


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なるほど、確かにモノを運ぶだけの役割や、単純作業を繰り返すだけの作業など、人間性を押し殺してやる作業はたくさんあるような気がします。


 ただ、こうした考えの下、協働ロボットで自動化や人の作業負荷低減をしたい工程を決めても、人が行っている作業をそのまま協働ロボットで置き換えた場合に、生産性や柔軟性の面で難しい場合があります。そこで、必要になるのが、作業そのものの切り分けです。協働ロボットでもできる作業、人でしかできない作業を切り分けて、そこで「人の作業負荷軽減」を目的に導入することを検討するということでした。

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人が行っている作業丸ごとではなくて、一部を協働ロボットに代替できないかということを考えるのもよいと思うわ。全てを置き換えるとなると大変だけど、組み立て作業の一部が単純作業であればそこを協働ロボットに担わせて人手との組み合わせで作業効率を上げるということは可能だと思うの。


 さらに、協働ロボット導入を広げることを考える場合は、協働ロボットでの作業ありきで工程を組み直すという方向に進める必要があります。人の作業の置き換えではなく、協働ロボットでの工程や治具、周辺環境を作り上げるということです。

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協働ロボットの活用を本気で広げていくのであれば、作り方を協働ロボットに合わせて作るというのも選択肢の1つではあるわ。それができれば、多くの場所に協働ロボットを適用できるようになるわ。


 協働ロボットには、“疲れないロボット”を人と同じ作業スペースで柵などを使わずに自由に設置して使えるという大きな利点がありますが、これらの発想で使い方を模索すれば、最適な工程が見つかるかもしれません。

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従来は費用対効果などが壁になって進められなかったところも、コロナ禍も含め人手の確保がますます難しくなる中で、人手に頼り切った生産からの脱却が求められる部分が出てきているわ。そういう変化を踏まえた上で、コストやリソースを考えると従来はできなかったこともできるようになるかもしれないわね。



 さて今回はスマートファクトリー化で考えておかなければならない現場の「働きがい」について考えていきたいと思います。

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