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「スマート工場」の見え方はこんなに違う、現場視点と経営視点のギャップいまさら聞けないスマートファクトリー(2)(1/3 ページ)

成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第2回では、製造現場側見るとかみ合わない経営者側の視点から見たスマートファクトリーを紹介します。

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 スマートファクトリー化は製造業にとって大きな関心事項であるにもかかわらず、なかなか成果が出ないという課題を抱えています。本連載では、スマートファクトリーでなかなか成果が出ないために活動を縮小する動きに危機感を持ち、より多くの製造業が成果を得られるように、考え方を整理し分かりやすく紹介します。

 第1回の前回は、スマートファクトリー化を実現するには非常に多くの部門が関係するために、製造現場だけでなく「それぞれの部門にとってのスマートファクトリーを整理しなければ会話がかみ合わない」ということをお伝えしました。第2回の今回は、これらの「それぞれの部門にとって」をさらに掘り下げていきます。今回は、経営陣や事業統括者にとってのスマートファクトリーの見え方について紹介したいと思います。

本連載の趣旨

 本連載は「いまさら聞けないスマートファクトリー」とし、スマートファクトリーで成果がなかなか出ない要因を解き明かし、少しでも多くの製造業がスマートファクトリー化で成果が出せるように、考え方や情報を整理してお伝えする場としたいと考えています。単純に解説するだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介します。

【架空企業「グーチョキパーツ」の背景】

 従業員300人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「第4次産業革命を進める」と指示され途方に暮れます。そこで、第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺い、さまざまな課題をクリアしていきます。


本連載の登場人物

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矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)

自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長兼IoTビジネス推進室室長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、どっぷりのめり込む。最近閉塞感にさいなまれている。


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印出 鳥代(いんだす とりよ)

ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。インダストリー4.0などを中心に製造業のデジタル化についてのさまざまな疑問に答えてくれる。サバサバした性格。


*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。

前回のあらすじ

 さて、前回のおさらいです。前回は、多くの部門に影響を与えるスマートファクトリーの課題として、それぞれの部門による期待値が異なり、描く姿が一致していないということが描く成果についてのギャップにつながっているということを指摘しました。

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「スマートファクトリー」は指し示す範囲が非常に広く、今までの製造業の部門や枠組みで考えると、いくつもの部門をまたがることになると思うの。そうすると当然それぞれの部門や立場から見た「スマートファクトリー」が生まれることになるわね。


 スマートファクトリー化の流れも、大きく捉えればDX(デジタルトランスフォーメーション)の一翼を担う取り組みだといえるため、最終的には企業活動として全ての活動がデジタル化され、データやシステムが全て連動するようになっていくというのが理想の姿だと考えます。しかし、現在はデジタル化が行われていない部分、デジタル化はされているが、システムやデータの連携ができていない部分などが1つの企業の中で混在しています。そこで、あらためてこうした理想像に近づけていくために、それぞれの描く「スマートファクトリー」を理解し、一致させながら話を進めていくことが重要だと考えます。この考え方のギャップを埋めるものとして、ドイツの「Reference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)」やIVIの「Industrial Value Chain Reference Architecture (IVRA)」などのアーキテクチャを紹介しました。

 さらに、ここまで詳細な粒度でなくても少なくとも4つの切り口では考える必要があることを訴えました。

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そうね。1つ目は矢面さんが取り組んでいる「製造現場プロセス」の観点ね。2つ目がモノの流れを示す「サプライチェーン」の観点、3つ目が設計などの「エンジニアリングチェーン」の観点、そして最後はこれらの企業価値を示す「ビジネス&経営」の観点ね。


 スマートファクトリー化に関するギャップの難しさは、「部門だけで最適化」するだけでは難しく、一方で「全体最適視点だけ」では各部門での具体的な個々の活動につながっていかないというところにあります。「全体の枠組みをイメージしつつ、活動は各部門で具体的に進める」ということが求められています。まさに「Think Globally, Act Locally(地球規模で考えて足元から行動する)」というようなことが求められているのだと考えます。


 さて、今回はこの問題をさらに掘り下げ、経営陣や事業統括者にとってのスマートファクトリーの見え方について話を進めたいと思います。

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