リード不要で心房と心室を監視可能なカプセル型ペースメーカーを発売:医療機器ニュース
日本メドトロニックは、徐脈性不整脈治療用ペースメーカー「Micra経カテーテルペーシングシステム」の販売を開始した。心臓の心房と心室、両方を監視できるデュアルチャンバ型で、カプセル形状のため、リードや外科的ポケットを必要としない。
日本メドトロニックは2022年1月11日、徐脈性不整脈治療用ペースメーカー「Micra経カテーテルペーシングシステム(Micra AV)」の販売を同月から開始したと発表した。2021年7月29日に製造販売承認を取得し、同年12月1日に保険収載されている。
Micra AVは、心臓の心房と心室、両方を監視できるデュアルチャンバ型のペースメーカー。ペースメーカー本体とリード(心臓をつなぐ細いワイヤー)が一体化したカプセル型で、従来のメドトロニック製ペースメーカーと比べて約10分の1サイズに小型化している。
カテーテル経由で心臓に送り込み、右心室内に直接留置するため、胸部の皮下にリードやポケットを導入する必要がない。ペースメーカーを植え込んでいることが外見から分からないだけでなく、導入に伴う感染症や合併症の心配もなくなる。
また、心室内から心房の動きを検出する、独自のアルゴリズムを備えている。心房の動きに合わせて心室を収縮させて、正常な心臓収縮の動きに近いペーシング療法が可能だ。
徐脈性不整脈(徐脈)の原因の1つである房室ブロックは、心房と心室の間で十分に信号が伝達されない状態で、血液が全身に行き渡らず、失神や命に関わる状態になる危険性がある。
房室ブロックのペースメーカー治療には、心房、心室のどちらか1つをペーシングするシングルチャンバ型と、本体にリードを接続して心房と心室の両方を監視し、電気刺激を送るデュアルチャンバ式ペースメーカーが用いられてきた。
しかし、胸部の鎖骨下に本体を植え込み、リードを心臓につなげるデュアルチャンバ式ペースメーカーは、リードの断線やリードを留置した静脈の閉塞、胸部感染症などの問題があることから、リードの接続が不要でかつ心房と心室両方の監視が可能なペースメーカーが求められていた。
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