キヤノンITSが目指す“共想共創カンパニー”、コンサルとの差別化狙う:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
キヤノンITソリューションズは2021年10月13日、2025年までの同社の事業目標などをまとめた「VISION 2025」について発表した。同社が今後展開する事業分野や、注力予定の市場領域などを解説した。
ビジネス共創モデルは5倍の人員増
システムインテグレーションモデルは、キヤノンITソリューションズがこれまでコア事業として展開してきたSI(システムインテグレーション)事業である。ただ、今後はシステム要件に従ってシステム構築や運用を進めるだけでなく、顧客課題を理解した上で最適なシステムの利用環境を提供するよう努めるとしている。
サービス提供モデルは各種法規制への対応、製造原価の見える化など業界業種に共通した課題解決のためのサービス提供を目指すものである。キヤノンITソリューションズがSI事業を展開する中で蓄積してきたソリューション創出力を生かしていくという。
今後、3事業ともに人材強化を進める方針だ。2025年までにビジネス共創モデルで約5倍(2021年比、以下同)、システムインテグレーションモデルで約1.1倍、サービス提供モデルで約1.5倍の増員を目指す。
注力予定の3市場領域
今後注力する市場領域としては「企業のデジタライゼーション」「開発革新」「デジタルデータの利活用」の3つを取り上げた。
企業のデジタライゼーションでは、ロジスティクスやエンジニアリングチェーン領域の業務デジタル化支援を行う。基幹業務トータルソリューション「AvantStage」などを活用することで、生産性の向上やEDI(Electronic Data Interchange)導入を進める。キヤノンITソリューションズが保有する数理最適化技術を活用して、物流環境の変化を予測するソリューションなどを開発していくという。
デジタルデータの利活用においては、業務高度化を目的としたAI(人工知能)技術や、教育機関向けのデータ活用ソリューション「in Campus」シリーズに新製品を取り入れるなどの取り組みを進めるとした。また、開発革新においては、ローコードプラットフォーム「WebPerformer」を通じた直感的なアイデアの具現化を支援するとともに、ライトアプリケーション開発に対応した「WebPerforCloud NEXT」の展開を新たに目指していくとする。
これらの取り組みを通じて、2025年までに全社売上を1.5倍(2021年比、以下同)、サービス提供モデルの売り上げを2倍にすることを目指す。
金澤氏は「当社のコアバリューは『お客さまに寄り添う心』『先進技術への挑戦魂』『最後までやり切る胆力』の3つにある。この“3つのDNA”に品質マネジメント力、付加価値を創出するプロフェッショナル人材が絡むことで当社の強みは形成されてきた。強みを生かして既存事業で得た原資を、拡大したい事業モデルに投資するサイクルを作ることで、共想共創カンパニーの実現に努める」と意気込みを語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 第2の創業期迎えたキヤノンITS、「2025年の崖」はホップステップジャンプで克服
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)が新たな経営体制や今後の事業目標などについて説明。新社長の金澤明氏は「当社は、現在第2の創業期、成長期に入っている。今後は、規模と利益の両方を追求し、キヤノンMJグループのITソリューション戦略の中核的役割を担っていく」と意気込む。 - 需給計画ソリューションの最新版、検査リードタイムも考慮
キヤノンITソリューションズは、需給計画ソリューションの最新版「FOREMAST Ver.3.1」を発表した。生産完了後の検査リードタイムを考慮した在庫計算機能と、臨時転送計画立案機能などを追加した。 - 「EDI2024年問題」解決の取り組み加速、キヤノンITSとインテックが協業
キヤノンITソリューションズは2021年8月17日、EDIや電子証明書関連のサービスなどを手掛けるインテックと協業して、「EDI2024年問題」の解決に向けた共同プロモーションを推進すると発表した。 - キヤノンITSと日立のアプリケーション開発基盤が連携、製造業への提案を強化
キヤノンITソリューションズは「第28回 ソフトウェア&アプリ開発展」において、ローコード開発プラットフォーム「Web Performer」と、日立製作所のアプリケーションフレームワーク「Justware」の連携ソリューションを紹介。製造業の基幹システムの作り込みや、IoTを活用したアプリケーションの早期開発などの需要を取り込んでいきたい考え。 - 設計者の働き方改革に必要なのはクラウドPLM、キヤノンITSとPTCがサービス提供
キヤノンITソリューションズとPTCジャパンは、製造業の設計・開発業務に携わる技術者が、在宅でも安全かつ安心にリモートで作業を行える「スマートPLMサポートサービス」の提供を始める。同サービスの鍵になっているのは、PTCのクラウドPLM「PTC PLM Cloud」だ。