キヤノンITSが目指す“共想共創カンパニー”、コンサルとの差別化狙う:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
キヤノンITソリューションズは2021年10月13日、2025年までの同社の事業目標などをまとめた「VISION 2025」について発表した。同社が今後展開する事業分野や、注力予定の市場領域などを解説した。
キヤノンITソリューションズは2021年10月13日、2025年までの同社の事業目標などをまとめた「VISION 2025」について発表した。同社が今後展開する事業分野や、注力予定の市場領域などを解説した。
変わるITベンダーの役割
キヤノンITソリューションズ 代表取締役社長の金澤明氏は、現在のIT市場環境について、「従来の業務の効率化や可視化を目的としたITシステム投資に代わって、デジタル技術を用いて事業自体を作り変える、DX(デジタルトランスフォーメーション)を目的としたITシステム投資が大きく増加した」と指摘した。この中で、ITベンダーに求められる役割も変化しつつある。ITシステムを正確に作り上げるだけでなく、顧客の事業を意識して柔軟性とスピード感を持つITシステムを提案する力が今後必要になるだろうと金澤氏は予想する。
こうした状況を背景に、キヤノンITソリューションズとして実現を目指す事業目標をまとめたものがVISION 2025である。その中で目指すべき企業の姿として掲げられているメッセージが、「先進ICTと元気な社員で未来を拓く共想共創カンパニー」である。
「“共想共創カンパニー”とはキヤノンITソリューションズ独自の造語だ。顧客と共に課題解決の方法を考えて新たな事業創出を支援する。加えて、顧客とのエンゲージメント向上に努め、また同時に、自社社員が自慢できる企業として成長することを目指す」(金澤氏)
“現場力”でコンサルタントと差別化なるか
共想共創カンパニーの実現に向けて、具体的には「ビジネス共創モデル」「システムインテグレーションモデル」「サービス提供モデル」の3事業領域の強化に取り組むとした。
ビジネス共創モデルは、デジタルテクノロジーにキヤノンITソリューションズがこれまで蓄積してきた多様な業務業種の知見とノウハウを組み合わせることで、顧客に伴走する形で事業変革や課題解決を図るという事業モデルである。顧客の事業領域や製品ラインの拡大、モノ売りからコト売りへの変革、働き方改革などの推進を目指す。
金澤氏は、こうした取り組みは豊富な現場経験に基づく幅広い知見とノウハウが必要になるとして、既存のコンサルタントや技術者といった枠組みの人材だけでは実現が難しいと語った。このため、キヤノンITソリューションズが独自に定義した「ビジネス共創スペシャリスト」の育成を進めているという。
「委託元と委託先という関係を超えて、顧客と共に事業の価値を考えてシステムを作り上げていくことになる。当社には製造業の困りごとをよく理解する、“現場力”の高い人材がいる。こうした現場力を基に共創を進める事業とする予定だ。課題に対して、コンサルタントのようにフレームワークを使って顧客課題をがんがん改善していくのとはまた異なるアプローチが取れると考える」(金澤氏)
ただ、同時に同社がこれまで「あまり手を付けてこなかった事業領域」(金澤氏)でもあり、他社が提供する一般的なコンサルティングサービスとの明確な差別化についてはまだ詰め切れていないとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.