キヤノンITSと日立のアプリケーション開発基盤が連携、製造業への提案を強化:製造ITニュース
キヤノンITソリューションズは「第28回 ソフトウェア&アプリ開発展」において、ローコード開発プラットフォーム「Web Performer」と、日立製作所のアプリケーションフレームワーク「Justware」の連携ソリューションを紹介。製造業の基幹システムの作り込みや、IoTを活用したアプリケーションの早期開発などの需要を取り込んでいきたい考え。
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は、「第28回 ソフトウェア&アプリ開発展(SODEC)」(2019年5月8〜10日、東京ビッグサイト)において、ローコード開発プラットフォーム「Web Performer(ウェブパフォーマ)」と、日立製作所のアプリケーションフレームワーク「Justware」の連携ソリューションを紹介した。同年7月1日に正式リリースする連携ソリューションと両社の協調により、製造業の基幹システムの作り込みや、IoT(モノのインターネット)を活用したアプリケーションの早期開発などの需要を取り込んでいきたい考え。
Web Performerは、JavaベースのWebアプリケーションをノンプログラミングで開発できる国産のローコード開発プラットフォームとして知られている。2005年のリリースから累計の導入実績は1086社となり、2018年度の国内市場で36%のシェアを獲得するなど広く用いられている。また、これらのユーザーの7割以上が、自社の情報システム開発を内製化するために利用しているとともに「自社開発目的のユーザーのうち6割は製造業だ。既にさまざまな事例も上がっている」(キヤノンITSの説明員)という。
例えば、ウシオ電機は工場のデータ収集・分析プラットフォーム「EagleEye」の開発で、ソディックは新たに導入したSAPの基幹システムと連携するMES(製造実行システム)の内製開発でWeb Performerを用いている。また、ゼネコンの佐藤工業は、土木工事現場のコンクリート品質チェックをスマート化するシステム「健コンカルテ」の開発に採用した。
一方、Justwareは、金融機関や公共系など、大規模かつミッションクリティカルなシステムの開発を中心に用いられているアプリケーションフレームワークだ。導入実績は100システム以上あり、プログラム自動生成やテスト自動化、CI/CD(継続的インティグレーション/継続的デリバリー)に対応するなど、充実した機能を有している。
それぞれ特性の異なるアプリケーション開発基盤ではあるものの「最近ではJustwareの提案活動で、Web Performerと競合するような場面が何度かあった」(日立製作所の説明員)。その実例となったのが、みずほ銀行、みずほ情報総研における外国為替予約システムの更改と、それに合わせた一部画面の短期間での刷新だった。「システム更改全体はJustwareで、一部画面の短期開発はWeb Performerで行うことになった。このときのノウハウを基に、『高品質と高信頼性』を担えるJustwareと、『高速』での開発が可能なWeb Performerが連携すれば、製造業をはじめより多くの顧客の求めに応えられるのではないかと考えた」(同説明員)という。
連携ソリューションを開発するために、Web PerformerからJustwareの機能を呼び出せる「連携コネクタ」を用意した。Justwareからの、Web PerformerのWebサービス呼び出しはREST通信で行う。
Web PerformerとJustwareの連携により、堅ろうかつ安定性が求められるサーバサイドはJustwareで構築し、クライアントサイドはWeb Performerで高速に開発するといった使い分けが可能になる。「Web Performerを媒介として、現場サイドと情報システム部門が連携したアジャイルな開発を行う一方で、裏側の作り込みは情報システム部門がJustwareで進めていくといったことも可能だろう」(日立製作所の説明員)。
Justwareは、自動車メーカーや工作機械メーカーの製造基幹系システムの開発で採用実績があるものの、中核ユーザーは金融機関や公共系だ。Web Performerとの連携をてこに、2025年問題として知られるSAPのERP移行や、IoT活用システムの開発などで、製造業の採用を伸ばしていきたい考えだ。
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