「JP1」がIoTに対応、複数社のPLCから成る工場ネットワークを一望に:ESEC2019&IoT/M2M展
日立製作所は、「第8回 IoT/M2M展 春」において、同社の統合システム運用管理ツール「JP1」の機能をIoTデバイスの運用管理に最適化したツール「JP1 for IoT」を展示した。
日立製作所は、「第8回 IoT/M2M展 春」(2019年4月10〜12日、東京ビッグサイト)において、同社の統合システム運用管理ツール「JP1」の機能をIoTデバイスの運用管理に最適化したツール「JP1 for IoT」を展示した。
JP1は、オフィスなどのPCの運用管理を行うITツールとして国内で広く利用されている。「その管理対象をIoTデバイスに変えたのがJP1 for IoTだ。IoT活用を進めていく中で、さまざまなシステムとつながる数多くのIoTデバイスを管理するのは大変手間が掛かる。それらのIoTデバイスの状態を1つの画面に一元化して管理できることが最大の特徴になる」(日立製作所の説明員)という。
展示では、異なるメーカーのIoTデバイスが混在する環境として、アラクサラネットワークス、日立産機システム、MoxaのPLCや、監視カメラ、信号灯などがつながった工場内のネットワークを、JP1 for IoTの画面で一括して管理できることを示した。管理画面では、各IoTデバイスの状態(緊急、警戒、通常など)に対応して表示色を設定することもできる。
統合管理のためのコアとなる技術は、ITツールとして運用実績のある「JP1/Integrated Management 2」を用いている。「将来的には、IoTデバイスとオフィスのPCを同時に管理するような需要も出てくるかもしれない。JP1 for IoTを使えば容易に実現できる」(同説明員)。
価格は1000台のIoTデバイスを接続する場合で月額16万円から(税別)で、別途JP1/Integrated Management 2が必要になる。2019〜2020年に向けて、SaaSでの提供も検討しているという。
KDDIと共同開発したグローバルのIoT通信サービスも
また、JP1 for IoTと同じIoT活用サービスとして「日立Global Telecommunications for IoT(以下、日立GT for IoT)」も参考出展した。
日立製作所とKDDIは2018年6月に、IoT通信接続からサービス展開、データ分析などをグローバルで提供するグローバル通信プラットフォームの共同開発を発表している。日立GT for IoTは、このグローバル通信プラットフォームを日立から提供するためのもので、さまざまな産業分野向けのアプリケーションを用意しているIoTプラットフォーム「Lumada」とも連携させたい考えだ。
なお日立GT for IoTの本格提供時期は、2019年10月を予定している。
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