「JINS MEME」次世代モデルはセンサーを集約して小型化、着用感とデザイン改善:ウェアラブルニュース
ジンズは2021年10月6日、まばたきや視線移動などの検知機能を搭載した眼鏡型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」の新モデルを同月14日から発売すると発表した。
ジンズは2021年10月6日、まばたきや視線移動などの検知機能を搭載した眼鏡型ウェアラブルデバイス「JINS MEME(ジンズ ミーム)」の新モデルを同月14日に発売すると発表した。眼鏡タイプとサングラスタイプを展開し、価格はいずれも1万9800円(税込み)。度なしレンズタイプは全4型4種で2万3100円(同)。また別途、JINS MEMEに対応する専用スマートフォンアプリ「JINS MEME APP」の利用料として1年間で5000円、あるいは1カ月で500円が必要になる。
センサーとバッテリーを集約して小型化
新モデルのJINS MEMEは、眼鏡タイプはフレーム形状がウェリントン、ボストン、オーバル、スクエアの4型各2色を、サングラスタイプは男性と女性向けの2型各2色をそれぞれ展開する。重量は8g。充電時間は約3時間で、最大24時間のアクティブモード稼働が可能(ジャイロセンサー使用時は約11時間)。
JINS MEMEは3点式眼電位センサーと、3軸加速度センサーと3軸ジャイロセンサーからなる6軸モーションセンサーを搭載しており、これによって着用者の目や身体の動き、状態を手軽にモニタリングできるウェアラブルデバイスである。
具体的には、3点式眼電位センサーで、眼球の角膜側と網膜側の間に生じる電位差である眼電位と、眼球の動きに連動した皮膚の動き、まばたき時に眼球が上転するベル現象の3つを検出する。これによってまばたきの強さや速度、間隔、眼球の動きの速さを測定する。また、6軸モーションセンサーで歩行時の速度や体の傾きを検出、測定する。
新モデルでは大きく分けて2つの改良を行った。1つは、2種類のセンサーとバッテリーを小型ボックス「CORE」に集約して、ノーズパッド部分にのみ搭載した点だ。旧モデルでは眼電位センサーをノーズパッドに、モーションセンサーとバッテリーをテンプルエンド(弦の先端)に分散して搭載していた。しかし、ジンズを傘下に持つジンズホールディングス 代表取締役 CEOの田中仁氏によると「着用感に問題があるとする声があった。特に、テンプルエンドが重くかさばるといった意見を聞いた」という。
COREの採用によって、着用時の違和感を防止する効果が期待される。また、センサーの小型化でフレーム設計の制約条件が減ったことで、眼鏡外観のデザイン性も向上して「テック好きの人でなくとも、着用しやすいデバイスに仕上がった」(田中氏)とする。
なお、COREの開発は「眼電位センサーとモーションセンサーの重ね方を工夫した他、旧モデル発売から現在までの間にバッテリーの小型化が進んだことで実現できた」(ジンズの説明員)という。
アプリも新機能追加
2つ目はJINS MEME APPの新機能追加である。JINS MEMEで収集したデータはJINS MEME APPで可視化、分析できる。ただ、田中氏は「(旧モデルでは)アプリの機能が日常生活で役立つソリューションや体験の創出に結び付いていなかった」と振り返った。
そこでJINS MEME APPに、以前からある機能と新機能を統合、集約して「BODY(カラダ)」「MIND(ココロ)」「BRAIN(集中)」の3機能を搭載した。BODYではCOREで取得した姿勢変化のデータをリアルタイムで可視化して、姿勢の正しさを4段階で評価する。ヨガインストラクターが監修した、短時間のヨガやストレッチなどのコンテンツも収録している。
MINDでは3点式眼電位センサーから取得した情報を基に、着用者の心理状態を「没入度」「安定度」「バイタリティ」の3要素で評価する。自身の心の安定感を把握するのに役立つという。この他に、瞑想などマインドフルネス関連のコンテンツを用意している。
BRAINは、着用者の集中度をスコア化して表示する機能である。1日でどのくらいの時間、深く集中できていたかを可視化する。「集中測定」機能を追加して、時間やBGMを設定して特定のタスクに集中できる環境づくりを支援する。
ジンズは昨今、テレワークの普及など働き方の変化が生じたことで人々のセルフマネジメント意識が高まり、投資も活発化しているとして、JINS MEMEの潜在需要も高いと見ている。
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