JSRが米国のEUV用メタルレジストメーカーを買収、EUVフォトレジストを強化:製造マネジメントニュース
JSRは2021年9月17日、米国の次世代EUV用メタルレジストメーカーであるInpria(インプリア)の79%分の株式を追加取得し、従来取得済みの21%と合わせて完全子会社化することを発表した。
JSRは2021年9月17日、米国の次世代EUV用メタルレジストメーカーであるInpria(インプリア)の79%分の株式を追加取得し、従来取得済みの21%と合わせて完全子会社化することを発表した。
半導体製造に使用される最先端リソグラフィー工程では、EUV技術の活用が広がっている。今後の半導体製造においては、3nm、2nm世代など微細化がさらに進み、高解像度のEUVフォトレジストが必要とされている。JSRでは以前からEUV向けフォトレジストで高い信頼性により採用を広げていたが、今後の微細化に向けた有望素材として注目されるメタルレジストの強化に向けて今回インプリアの買収を決めた。
インプリアは、2007年の設立以降、メタルEUVレジストの開発に取り組んでおり、主要製品であるスズ酸化物を主成分とするメタルレジストは、EUV露光系で世界最高性能の限界解像度を達成している。さらに、従来のレジストに比べ、ドライエッチング時のパターン転写性能が高く半導体量産プロセスでも優れた適正を示している。今回の買収完了は2021年10月末の予定だが、その後JSRではインプリアのメタルレジストを製品ポートフォリオに加え、製品展開を進めていく計画である。
JSRでは、今回の買収も含めEUVレジスト事業の2024年度までの見通しとしてCAGR(年平均成長率)50%以上を見込んでいる。また、インプリア単体でも2022年度以降の黒字化を達成する計画だ。
今回の買収では、JSRが米国デラウェア州に買収を目的とした特別目的子会社を設立し、これをインプリアと合併させる。合併後の存続会社はインプリアとなる。今回、JSRとインプリアは、インプリアの事業価値を将来収益力に基づく総合評価として5億1400万ドル(約565億4000万円)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- TSMCが産総研内に評価用ライン構築、経産省の次世代半導体技術支援で
経済産業省は2021年5月31日、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の「先端半導体製造技術の開発(助成)」における実施者として、「高性能コンピューティング向け実装技術」に関するTSMCなど、5件の採択を決定した。 - 国内24社が量子産業創出に向けQ-STARを設立、活動のベースとなる「QRAMI」とは
量子技術による新産業創出協議会(Q-STAR)が2021年9月1日、設立会員24社による総会の承認を得て正式に発足した。Q-STARは今後、4つの部会を中心に産業界が主体となって「量子産業の創出」を目指す方針である。 - 先端ロジック半導体のファウンドリを国内誘致へ、半導体・デジタル産業の国家戦略
経済産業省は2021年6月4日、半導体産業やデジタル産業を国家戦略として推進する「半導体・デジタル産業戦略」を取りまとめ公開した。全ての産業の根幹にデジタル産業、半導体産業があると位置付け、先端ロジック半導体の量産化に向けたファウンドリの国内誘致推進などの戦略を紹介した。 - 半導体露光機で日系メーカーはなぜASMLに敗れたのか
法政大学イノベーション・マネジメント研究センターのシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」では、日本における電子半導体産業の未来を考えるシンポジウム「海外のジャイアントに学ぶビジネス・エコシステム」を開催。半導体露光機業界で日系企業がオランダのASMLに敗れた背景や理由について解説した。 - ナノスケールのちりの影響を抑制、半導体製造装置が目指すIoT活用
「SEMICON Japan 2016」のIoTイノベーションフォーラムで登壇した東京エレクトロン執行役員の西垣寿彦氏は、半導体製造における“ちり”の管理と、IoTを使った生産性向上の取り組みについて紹介した。 - 72台の装置を半日で稼働、日本発「ミニマルファブ」が変える革新型モノづくり
産総研コンソーシアム ファブシステム研究会などは「SEMICON Japan 2016」で、「ミニマルファブの開発成果を発表。同研究会などが推進するミニマル生産方式による製造装置「ミニマルシリーズ」72台を設置し、半導体製造工程のほとんどをカバーできるようになった成果をアピールした。