THK、軸受けやボールねじの状態基準保全に2つの“安心”サービスを追加:FAニュース(2/2 ページ)
THKは2021年7月19日、軸受けやボールねじの状態監視を行う製造業向けIoT(モノのインターネット)サービス「OMNIedge(オムニエッジ)」に、「製造ゼロ待ちチケット」と「IoTリスク補償」という2つの“安心”サービスを追加すると発表した。
保全部品の提供を補償する「製造ゼロ待ちチケット」
新たに開始する「製造ゼロ待ちチケット」は、OMNIedge利用ユーザーの機械や装置において、センサーを取り付けたLMガイドやボールねじなどの機械要素部品の不調で交換が必要な際に、THKが優先的に必要部品の製造を行い提供するサービスである。製造に必要なリードタイムそのものは変わらないが、製造待ちの“待ち時間”についてはゼロにできる。
対象は、THK製のLMガイド、ボールねじ、アクチュエータで、使用条件として「適切な設置」と「定期的なデータ取得」を挙げている。使用枚数は1年間に最大2枚とし、発注台数は最大2台と設定している。また、このチケットはTHKとの直接取引だけでなく、マシンビルダーや商社を間に挟んでいる場合でも使用できるという。
「製造機械などでよくあるのが、壊れた機械部品の在庫をマシンユーザーが抱えているのかないのか、商社が抱えているのかないのか、THKに依頼するのかどうなのかという情報を、収集するのに非常に時間がかかるということだ。あらかじめこの『製造ゼロ待ちチケット』を活用していれば、THKが責任を持って製造リードタイムのみで製造して届けるために、計画的な保全のタイミングで部品交換を行える。そこが大きなメリットになると考えている」と寺町氏は意義について説明する。
OMNIedgeでの監視部品不具合の金銭的補償をする「IoTリスク補償」
「IoTリスク補償」は、OMNIedgeの予兆検知機能が働かず機械要素部品(LMガイド、ボールねじ、アクチュエータ)に損壊が発生した場合、原因箇所の機械要素部品の価格と交換に必要な作業費(最大100万円まで)を、東京海上日動の保険によって補償するサービスである。OMNIedge契約時に自動的に付加され特別な手続きなしに活用できる。条件としては、センサーが機器に適切に設置されている他、閾値が設定され、定期的にデータ取得が行われていることがある。補償金額は1事故当たり最大で100万円としている。協業する東京海上日動とは2019年から具体的な仕組みなどを検討してきたという。
寺町氏は「もともとのOMNIedgeの展開時から目指しているのは工場のゼロダウンである。その意味で保全部品の確保と共に保険の概念を加えていくというところは当初から検討の視野に入っていた。クルマの自動運転などを見ても、メーカーがエンドユーザーの活動そのものを支える責任が出てくるという流れは今後強まると考えている。こうしたことを検討している中で東京海上日動と出会い、話が進んだ」と経緯について語っている。
今回の「安心」についてのサービスが加わったことで「OMNIedgeの持っていた『簡単』『安全』『予兆検知』の3つの特徴に、新たに『安心』という4つ目の特徴を加えることができた。これにより、さらに広くCBMの普及を広げていく」と寺町氏は語っている。
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