全員参加の生産保全、TPMとは何か?:いまさら聞けないTPM(1)(1/4 ページ)
本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPMとは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説していく。第1回となる今回は、まず「TPMとは何か」について紹介する。
TPMとは?
TPMが誕生して45年になります。この間多くの企業で導入され成果を挙げてきました。TPMはTQM(Total Quality Management)やTPS(Toyota Production System)と同様、製造業の企業運営に欠かせないものであり長年活用されてきました。現在までコアの部分は継承しつつ、時代に合わせて変化・成長し続けてきました。
1961年からPM(生産保全)を導入した日本電装(現デンソー)が生産部門を巻き込んで全員参加のPMとして大きな成果をもたらし、これを機に1971年に日本プラントエンジニア協会(現材の公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会:JIPM)が定義付けをし、同年よりTPMで体質改善した事業場にPM優秀事業場賞として表彰を始めました。現在まで国内外で3100を越える事業場が受賞しています。
TPMとは「全員参加の生産保全:Total Productive Maintenance」で、日本発信の管理技術の一つです。日本プラントメンテナンス協会の登録商標または商標となっています。TPM賞(PM賞の名称を2010年に全てTPMに統合)は、TPM優秀事業場や論文、製品、技術者を対象に賞制定されています。詳細は日本プラントメンテナンス協会のWebサイト「TPM賞」を参考いただければと思います。
人を活かす、人が活きるTPM活動
最近は、センシング技術の向上やネットワークの構築、国際標準化、ビッグデータなどの活用でインダストリー4.0(Industry 4.0)、インダストリアルインターネット(Industrial Internet)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)などが注目され、さらに3D生産革命によりモノづくりの技術革新が進められています。これらにより、開発や生産拠点のタイムレスやボーダーレス化に加え、生産の進捗や製造品質の状態、設備の稼働状態などのモニタリングがリアルタイムに行われようとしています。
状態の変化を捉えることが可能になってきたということです。異常の早期発見後は異常の処置、さらに異常が起きないような改善や予防を行わなければなりません。これらは人でしか行うことができません。これらに「対応できる人作りをしていくもの」がTPMとなります。
「設備の体質を変え、人の体質を変え、企業体質を変える」ことがTPMの狙いです。いつの時代でも環境変化に対応する企業体質にしていくことが求められ、そのツールとしてTPMが活用されています。人を活かす経営、人が育つ仕組みを構築することになります。
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