1つの組織サンプルから病理検査と遺伝子検査を可能にするデバイスを開発:医療機器ニュース
ウミヒラと京都府立大学は、針生検で採取した組織を縦に二分割できる「組織二分割デバイス」を共同開発した。同一サンプルから、病理組織検査と遺伝子検査が同時に実施できるようになる。
ウミヒラは2021年6月28日、針生検で採取した組織を縦に二分割できる「組織二分割デバイス」を、京都府立大学と共同開発したと発表した。サイズは、収納時が62.0×45.0×21.1mm、開放時が165.0×45.0×13.6mm。同年5月から販売を開始しており、日本国内の特許は登録済み。アメリカ、ヨーロッパ、中国では審査中となる。
組織二分割デバイスは、採取した組織を生検針からデバイス内の組織分割用シートに直接載せてボタンを押すだけで、直径0.8mmほどの細長い糸状の組織を簡単に分割できる。
縦に二分割された組織は、ろ紙に付着した状態となっている。それらを検査ごとに適した処理ステップへと移行することで、同一サンプルから病理組織検査と遺伝子検査を同時に実施できる。
現在、がん治療などにおいて個別化医療に必要な遺伝子検査の重要性が高まっている。しかし、病理検査と遺伝子検査では採取した組織の処理方法が異なり、特に不安定なRNA遺伝子は、組織を採取した後すぐに凍結保存する必要があった。そのため、1つのサンプルを病理検査と遺伝子検査で共用できず、従来の針生検では病理検査のみが実施されてきた。
今回開発したデバイスを使用すれば、糸状組織を縦に分割できるため、空間的には同一組織と見なすことができ、病理検査に加えて遺伝子検査によるオーダーメイド診断も可能になる。
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