ニュース
がん組織内の遺伝子変異を検出する完全自動化システムを開発:医療機器ニュース
シスメックスは、凸版印刷、理研ジェネシスと共同で、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する研究用遺伝子測定装置「LW-100」と関連試薬群を開発した。
シスメックスは2018年8月30日、凸版印刷、理研ジェネシスと共同で、がん組織内の遺伝子変異を検出する検査を全自動化する研究用遺伝子測定装置「LW-100」とその関連試薬群を開発したと発表した。がん組織標本のパラフィン溶解、核酸抽出と精製、遺伝子増幅、測定結果表示までの全工程を自動化するシステムとして、研究市場への導入を開始する。
同システムは、LW-100と核酸抽出カートリッジ、遺伝子変異検出チップなどの関連試薬群で構成される。病理検体を投入するだけで、装置内で核酸抽出、精製、解析、結果の出力までを自動処理する。
また、複数アッセイ(最大23アッセイ)を一度に測定できる遺伝子変異検出チップを採用。LW-100と同時に導入するEGFR遺伝子変異の検出チップ「LW-100 EGFR研究用試薬」は、BNAクランプPCR法を用いており、EGFR遺伝子変異の高感度測定を可能にした。感度は100コピー以下で、検体処理時間は1サンプル3時間40分、3サンプル8時間となる。
同社は今後、同システムを国内の研究市場へ導入し、臨床用途での実用化および遺伝子検査の標準化に向けた取り組みを加速する。また、製薬企業や医療機関と連携して、コンパニオン診断薬の開発を進めるとしている。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 高速で細胞を選抜する基盤技術を開発、細胞画像の深層学習を活用
東京大学は、細胞の高速イメージングと深層学習を用いた画像解析により、細胞を個別に高速で識別し、必要な細胞を分取する基盤技術「Intelligent Image-Activated Cell Sorter」を開発した。 - 表面実装機の技術で細胞を1個1個より分け、効率的な抗体作製の実現へ
ヤマハ発動機は2018年8月31日、東京都内で会見を開きバイオベンチャーのイーベックに5億円を出資すると発表した。ヤマハ発動機が医療分野のベンチャー企業に投資するのは今回が初めてとなる。ヤマハ発動機は中期経営計画で成長戦略の1つとして掲げる「ソリューションビジネスへの挑戦」を加速させる。イーベックに対するヤマハ発動機の出資比率は23%で、筆頭株主となる。 - 乾燥やシワの遺伝子をゲノム編集、加齢による肌の変化を表皮モデルで再現可能に
富士フイルムは東京医科歯科大学との共同研究で、最新のゲノム編集技術「CRISPR-Cas9」をヒト表皮細胞に適用し、3次元培養した表皮モデルを作製することに成功した。 - 片手で持ち運べる小型遺伝子検査機を開発
産業技術総合研究所は、日本板硝子、ゴーフォトンと共同で「モバイル遺伝子検査機」を開発した。片手で持ち運べるほど小型軽量で、約1時間を要していた細菌やウイルスの検出が約10分で可能に。バッテリー駆動するので検査場所も問わない。 - 100個の細胞を同時かつ高精度に遺伝子解析する小型チップを開発
日立製作所は、メッセンジャーRNAを細胞単位で解析する1mm角のチップを開発した。1細胞中に15分子しか存在しないmRNAを、最大100個の細胞から同時に、かつ高精度に抽出・解析できる。