店舗内に配送システムを構築する「MFC」、国内での普及可能性は:物流のスマート化
AutoStoreは2021年6月29日、同社が展開する自動倉庫型ピッキングシステムなどを活用したMFCの可能性について解説するセミナーを開催した。小売店舗内に配送拠点を設けるMFCは、迅速な配送を実現するシステムとして今後国内でも普及する可能性があるという。
AutoStore(オートストア)は2021年6月29日、同社が展開する自動倉庫型ピッキングシステムなどを活用したMFC(マイクロフルフィルメントセンター)の可能性について解説するセミナーを開催した。小売店舗内に配送拠点を設けるMFCは、迅速な配送を実現するシステムとして今後国内でも普及する可能性があるという。
生鮮食料品なども迅速に配送
ノルウェーを本拠とするAutoStoreは、ロボットを用いた自動物流倉庫システムを展開する企業である。「グリッド」と呼ばれる格子状のライン上をロボットが自動走行し、「ビン」と呼ばれる専用コンテナ内に格納された商品を自動でピッキングする仕組みを提供している。ピッキングした商品は人間の作業者(ピッカー)が受け取り、梱包する。ビンは最高で16段、約5.2mの高さまで積み上げられるため、狭い場所でも多くの在庫を格納できる特徴を持つ。
AutoStoreが展開するMFCは、この自動倉庫の仕組みを専用のフルフィルメントセンター(配送機能などを有した施設)ではなく、小売店舗の各店舗内に設置するというものだ。生鮮食料品店やドラッグストア、スポーツ用品店などさまざまな店舗で導入可能で、冷蔵、常温などの商品に合わせた保管方法にも対応する。一般的なフルフィルメントセンターは都市部から離れた場所に設置されているが、専用の配送システムを各店舗に導入すれば、運搬距離の削減による配送コスト低減の他、生鮮食料品や飲料など長期間の保管、運搬が難しい商品を迅速に配送できるようになる。
AutoStore システム マネージャーの阪井克来氏は、仮に同社のソリューションを小売店舗が導入した場合のメリットについて「通常、バックヤードにある在庫棚の間には通路が設けられている。一方で、当社のソリューションはビン同士を高密度で詰めることで、バックヤードの約3分の1をMFC化して残りの敷地面積を自由に使えるようにする。売り場面積を広くとることも可能になる」と説明する。
また阪井氏は、MFC(マイクロフルフィルメントセンター)の関連市場は2026年までに約1兆円規模、年間成長率約60%のペースで成長するという予測調査も紹介した。このように市場の巨大化が予測されるのは、顧客が自身の欲しい商品を短時間で手に入れたいというニーズが強まったことが関係しているようだ。
「いわゆるアマゾン・エフェクトによって、『数日、あるいは週内に荷物が到着すれば良い』というスタンスが一般的だったECの世界が、(早ければ1日など)短期での配送が求められる世界へと変わった。都市部には大規模な物流拠点を設置するのは難しいが、代わりに店内などにMFCを設置すれば、迅速な配送、あるいは商品受け取りを可能にする体制を構築できる。また、国内ではMFCの設置例はないが、ダークストアよりも小規模なスペースに設置できる分、配送システムの主流になる可能性もある」(阪井氏)
阪井氏は今後の展望について、時代とともに変化する顧客の消費行動やニーズに合わせて、イノベーションを積み重ねた自動物流倉庫システムを提供したいと語った。
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