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カオスな倉庫も独自技術で柔軟に走行、Rapyuta Roboticsの自律移動ロボット羽田卓生のロボットDX最前線(3)(1/5 ページ)

「ロボット×DX×工場」をテーマに、さまざまな領域でのロボットを活用したDXの取り組みを紹介する本連載。第3回は、独自の群制御技術を搭載したクラウドロボティクスプラットフォームと、対応する自律移動ロボットを開発するRapyuta Roboticsを取り上げる。

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 本連載では、「ロボット×DX×工場」をテーマに、FA(ファクトリーオートメーション)向けのロボットを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みや動向を取材して、国内製造業の現在と未来を紹介する。

⇒「羽田卓生のロボットDX最前線」のバックナンバーはこちら

 第3回のテーマは「物流倉庫」。人手不足は多くの業界で共通の課題だが、特に物流業界ではEコマースの利用増加といった背景もあり、省人化のためのDXが急務となっている。こうした課題を解決する事業を展開するのがRapyuta Robotics(ラピュタ ロボティクス)だ。同社は「rapyuta.io」というクラウドロボティクスプラットフォームを、国内の倉庫事情にフィットさせた倉庫向けの協働型ピッキングアシストロボット(AMR:自律移動ロボット)とともに開発、展開している。

 今回は、rapyuta.ioやAMRの導入先である京葉流通倉庫への現場取材も行い、実際にロボットを使用した物流現場の様子も見学させてもらった。導入後の現場や課題点なども併せてお見せしたい。


画像中央がRapyuta Robotics 執行役員の森亮氏。画面左が同社 Business Development Managerの小堀貴之氏。画面右は、京葉流通倉庫 DX推進室長 執行役員の飯塚雄一氏*出典:Rapyuta Robotics[クリックして拡大]

群制御技術でAMRへの指示を柔軟に

 Rapyuta Roboticsが提供するAMRは、LiDAR(Light Detection and Ranging)など複数種のセンサーを用いて倉庫内を自律走行する、全高49cmのタイヤ移動式ロボットだ。

 折り畳みコンテナ(オリコン)を、2つ搭載できる上下2段のラックを搭載しており、その上部には、ディスプレイと商品のピッキングに使うスキャナーが搭載されている。自律走行時の安全対策はしっかり構築しているが、ロボットのハードウェアとしてはシンプルな印象もあるだろう。ただ、これがrapyuta.ioというクラウドロボティクスプラットフォーム下で稼働することで、その性能をフルに発揮する。


協働型ピッキングアシストAMRの外観[クリックして拡大]

 AMRの導入によって人間のピッカーは、ピックアップ作業だけを効率的に行えるようになる。具体的な使用の流れを以下で紹介しよう。

 AMRはピッキング予定の棚前まで自動的に移動して、ピッカーが指定の商品をラックに載せるのを待つ。機体の待機場所などの情報は、全体状況を俯瞰的に見られる専用ダッシュボード(モニター)から確認可能だ。ピッカーはAMRと待機場所で合流した後、AMRのディスプレイからどの商品をピックアップするかをチェックする。指示通りに商品をラックに載せて、ディスプレイ上の作業完了ボタンを押すと、次に向かうべき場所が表示される。人が次の指定場所に行くと、先とは別のAMRが待機していてピックアップを繰り返していく。

AMRのピックアップデモ

 これによって人間はピックアップだけに専念できる。複数台のAMRを適切に運用することで、人の移動距離を最短になるように作業段取りを組み立てられる。実際にAMRを用いた業務を見たが、難しい内容ではないので、ピッカーもすぐに対応できると思われる。

 こうした制御を実現できたのは、rapyuta.ioに搭載された独自アルゴリズムによる群制御の技術力が大きい。各機体とピッカー、ピッキングすべき商品の情報を総合的に勘案し、幾度もシミュレーションを繰り返すことで最適なオペレーションを導き出す。具体的には、各AMRの最適な走行順やルート、ピッカーの指定場所への到達時間、人に出すべき指示内容などをシミュレーションを通じて全て予測している。

 仮に調子の悪い機体があれば、その“不調さ”も織り込んだシミュレーションを行う。また、この現場では実現できていなかったが、自社製のAMR以外も、「rapyuta.io」の配下で、制御可能という。例えば、自動運転のフォークリフトや、ピッキング用のアームロボットなどが倉庫に加わったとしても、全機器の最適な配置を算出できるという。

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