下水検査から新型コロナウイルス感染者を早期発見する京都モデルの提供開始:医療機器ニュース
島津テクノリサーチは、下水検査とヒトのPCR検査から、新型コロナウイルス感染者を特定する検査システム「京都モデル」の受託検査事業を開始した。高齢者施設や学校など、個別施設に向けてサービスを提供する。
島津テクノリサーチ(STR)は2021年5月13日、下水検査とヒトのPCR検査から、新型コロナウイルス感染者を特定する検査システム「京都モデル」の受託検査事業を開始した。高齢者施設や学校、宿泊施設など、個別施設に向けてサービスを提供する。
→特設サイト「新型コロナウイルス 製造業が直面する未曾有の試練」
京都モデルは、トイレ排水のPCR検査によって新型コロナウイルスへの感染状況を監視し、陽性反応があればヒトPCR検査で感染者を特定する検査システム。クラスターの発生防止を目的とした、定期的な施設全体の検査に適している。
STRでは約1カ月にわたり、京都府と京都市の協力のもと、中等症患者が入院する医療機関と軽症患者が滞在する療養施設で実証実験を実施した。同社が開発した「PoP-CoVサンプラー」をマンホールに設置して下水試料を採取し、新型コロナウイルスの陽性反応を検出した。
また、111人が利用するオフィスビルの下水PCRでは、陽性反応を検出。その後実施した個別検査から、利用者1人が新型コロナウイルスに感染していることが判明した。下水のPCR検査日は発症日(陽性確定日の4日前)またはその前日であり、建物単位での下水PCR検査が感染の早期発見に有効であることが示された。
新型コロナウイルス感染者の糞便(ふんべん)には、発症前からウイルスが存在すると考えられている。今回の実証実験により、個別施設のトイレ排水をモニタリングすることで、施設利用者の感染状況を監視できることが示唆された。
なお、京都モデルでは、下水PCR検査の結果は、原則として検体がSTRに届いた翌々日の午前に連絡する。陽性反応が出た場合のヒトPCR検査は、各施設が提携する医療機関などで実施する。
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