目指すは“宇宙版シリコンバレー”、アジア初の宇宙港を北海道で実現せよ:宇宙開発(2/2 ページ)
北海道大樹町は2021年4月21日、人工衛星用ロケットの射場など宇宙産業のインフラを備えたアジア初の“民間宇宙港”、「北海道スペースポート」の本格稼働に向けた取り組みを開始すると発表した。同時に大樹町や道内企業6社が共同出資して、HOSPOの運営管理や顧客誘致などを担う企業SPACE COTANを設立する。
“宇宙版シリコンバレー”の実現に向けて
そして大樹町から委任を受けて、HOSPOを核とした宇宙産業を事業として推進する役割を担うのがSPACE COTANである。事業内容は、HOSPOの管理運営や、整備資金調達支援、射場設計、国内外での顧客開拓などだ。小型衛星のテストベンチ、テストフライトといった実験検証から、商業的な衛星打ち上げの支援など幅広く手掛ける。
ロケット打ち上げビジネスは2025年には約1兆円規模の市場に成長するという予測もある。中でも500kg以下の小型衛星打ち上げは高いニーズが見込まれ、2030年ごろには年間で1000機程度の打ち上げ需要が顕在化するともいわれている。一方で、現状国内では小型衛星を打ち上げるための射場やロケットの数が不足しているという課題がある。このためスタートアップを含む国内の衛星メーカーは海外の発射場を活用して打ち上げを実施している。
こうした状況を踏まえて、SPACE COTAN 代表取締役社長兼CEOの小田切義憲氏は「国内外の小型衛星打ち上げ需要を取り込んで、国内での衛星打ち上げが行える環境を整えたい。また将来的には射場のニーズを取り込むだけでなく、各ステークホルダーと連携しながら航空宇宙産業の集積都市、いわば“宇宙版シリコンバレー”のようなものへと成長させていく」と意気込みを見せた。
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